FIREで自由な生活を手にしたい人は多いでしょう。今回は、お金を貯める以外で意外なFIRE達成前にやっておくべき準備の記事を書きます。これでFIRE後の快適な暮らしを実現することができます。
FIRE達成前にやっておくべき準備
FIREに関してですが、資産運用で生活費を賄う。そのために、収入をアップさせて支出を減らす。さらに資産運用を行うということは当然必要として、FIRE後の生活にも気を配る必要があります。
結論として、必要となるのが下記の5つになります。ポイントは税金と社会保険料です。それぞれ解説していきます。
- 確定申告に慣れておく
- 簿記資格を取得する
- 信用金庫で預金を積み立てる
- 個別株投資に慣れておく
- 新NISA枠を上限まで利用する
- 法人設立について学んでおく
- 家を買わない(借りる)
FIRE後の生活
FIRE後で意外な出費に「税金と社会保険料」があります。税金に関しては、配当金生活をする場合には所得税15%と5%が源泉徴収されます。いたってシンプルです。しかし、この税率ですが配当収入がそこまで多くない場合には、確定申告で税率を下げることもできます。
さらに社会保険料の方です。夫婦の場合はサラリーマン時代と違って、妻の扶養がなくなります。所得がなかったとしても、国民年金は固定金額で年額20万円が一人当たりかかり、二人ならば40万円。さらに健康保険が自治体により多少差はあれど、収入がなくても約20万円が必要です。
400万円の配当金がある場合、20%の80万円が所得税と住民税で取られます。残りは320万円になり、そこから社会保険料が60万円取られるとなると残りは260万円です。400万円のうち140万円が消えるわけです。400万円なら月額33万円あるのに税引き後に月額21万円になるのです。だから、その対策が必要になります。
確定申告に慣れておく
FIRE前に経験しておきたいことの最初が確定申告です。配当金などの税金は場合によっては20%を10%(去年までは5%でしたが)に減らすことができます。そのためには確定申告が必須なのです。
配当のみしか収入がなく、年間約330万円以下であれば所得税率が10%であり、配当金を総合課税にすると配当控除で10%の控除が入るため、結論としては所得税が0円になるのです。一方で住民税が5%から10%に上がってしまうので、この点がこの方法の弱点ではあります。
330万円の配当が66万円の税金なのか、33万円の税金なのかが変わるので大きな話です。夫婦であれば、それぞれが330万円の配当金があるとすれば合計で年間660万円までが、配当の所得税が0円になります。
簿記資格を取得する
FIREと簿記は直接関係なさそうなのですが、FIREをした後は社会保険料を抑えるために、法人設立がおすすめですので、ここで簿記が必要になります。先ほどの説明で社会保険料が年間60万円が発生してしまうのですが、これを抑えることができるからです。
具体的には、法人を設立してそこの代表社員になり、基準値最下限の月収68000円以下にすると、健康保険が20万円の所が、7万円に下がります。一方で年金に関しては国民年金の20万円より少し安い19万円程度ではありますが、扶養があるのです。つまり夫婦で40万円の国民年金が夫婦で19万円になります。(法人の維持費に年間7万円は追加になります)
そして、この法人を維持するために必要なことが「法人の決算処理」です。税理士に頼むと年間10~20万円程度発生してしまうので、保険料の減額効果がほぼなくなってしまうので自分でやるしかない。その時に簿記の知識が必要になるのです。
また、FIRE後にブログやYouTubeなどの個人の事業で収入があった場合でも、年金や健康保険の金額が増えないという点も、この法人設立のメリットです。
信用金庫で預金を積み立てる
さて、自分で法人を設立した場合に、法人住民税などの税金の支払いが必要になります。都度、振り込みをしてもいいのですが正直面倒ください。そこで法人口座があると便利です。そして、この法人口座ですが、例えばメガバングに口座を開こうとしても、開けません。
一方でネット銀行系の法人口座は比較的開きやすい。だけれど、税金の引き落としに対応していないのです。メガバンクや地銀、信用金庫などであれば対応しているのですが、ネット銀行はダメなのです。地銀も個人で口座を開くのが大変で、おすすめは信用金庫の法人口座です。
信用金庫は実績があまりなくても、法人口座が開けます。そして、ある程度の実績を積む方法が個人で口座を開いておいて、そこに積み立てを行う方法です。だから、その法人口座を開く日に向けて、月額3~5万円程度でも良いので、信用金庫の個人口座に積み立てを行っておきましょう。
個別株投資に慣れておく
資産形成を目指す最適な投資方法はインデックス投資で良いと思います、一方でFIREを達成した後の投資先はインデックス投信よりも、おすすめなのが配当株投資です。
国内で良い高配当ETFはないのです、海外の高配当ETFもいいのですが、海外ETFの最大の弱点は税金です。まず海外で所得税をとられて、そして、国内でも所得税と住民税が取られます。この二重課税に関しては、確定申告をすることで取り返すことが可能ですが、逆に確定申告を必ずすることになるので、申告不要が選べなくなります。
配当金の申告不要制度は、配当金の収入が一般的な収入の計算から外れることになり、配当金で1000万円を貰っていても、住民税非課税世帯となります。
さらに海外ETFの場合は配当控除がありません。配当のみの収入で総合課税の場合、配当控除は大きいです。300万の配当で配当控除の有無で30万円の税額が変わります。だから、海外ETFではなく、国内高配当株がおすすめになるのです。
いかし、高配当株は「個別株投資」です。値上がり狙いの個別株投資程ではないにしても、インデックス運用のみしか経験がない場合には、プロセスが違いすぎで困ります。だから、国内高配当株投資を行うために個別株投資に慣れておく必要があるのです。
新NISA枠を上限まで利用する
1億円の資金を全て高配当銘柄に投資し、配当利回りが4%の場合には、年間配当金が400万円になります。これに税金が20%の80万円が発生します。これを先ほどの確定申告で課税方法を変えるなどして所得税率を下げることもできるのですが、課税方法以前に非課税にするという方法があり、それがNISAです。
今でも年間120万円まで+非課税期間5年間というNISAはあるのですが、来年からはさらにパワーアップ。つみたてNISA枠120万円と成長枠240万円と年間360万円までが投資可能。さらに非課税期間が無期限にあります。高配当株を買えるのは成長枠のみで、生涯枠1200万円が上限です。
夫婦であれば、2倍の2400万円になり、これで配当株を買うと2400万円の投資で96万円の配当金。普通ならば税金は19.2万円かかるのですが、これが非課税になります。1億円の資産のうち2400万円が非課税枠として活用でき、さらにつみたて枠を加えると3600万円が非課税枠として活用できます。
法人設立について学んでおく
節税と言えば法人化と言われるほど、法人による節税メリットは多くあります。その中に、高配当株投資を法人で行うという方法もあります。そのために、法人設立についての学習を進めておくことをお勧めします。もう一つのメリットとして、FIRE後の肩書が無職ではなく、会社経営(代表社員)になる点です。職業を聞かれたときに、嘘ではなく無職と答えなくて済むわけです。
さて、本題に戻って法人についてですが、法人で株式投資を行った場合、年間800万円以下の分は法人税率15%となります。個人の所得税率と一緒なのであまり意味がありません。しかも、会社に利益として出て、さらに給料として自分に支払うと、まだ税金がかかわるわけです。
しかし、法人で配当金を年間55万円を出して、その配当金を自分に給料として55万円を支払うという手を取るとします。1375万円の高配当株で4%の配当が出たというイメージです。この場合には、会社は利益がなくなりますので、法人税は発生しません。一方で自分が給料を受け取る場合ですが、55万円の給料に対して、55万円の給料所得控除という控除が発生し、結果的に税金はかかりません。
この方法を用いると資産1375万円の高配当株で4%の配当金を年間55万円、非課税で受け取ることができるようになります。1億円の高配当株の内、夫婦で2400万円が新NISA。さらに法人で1375万円の合計3775万円が非課税で配当を受け取ることができるのです。(配当の税金は源泉徴収なので、一般口座で確定申告してなくても取られます)
家を買わない(借りる)
今までの内容に比べて、さらにFIREと関係なさそうなのがコレです。家を買わない。 正確に言うならば、会社を設立して住んでいる賃貸物件を役員社宅にするという方法です。これで住居費用を経費扱いにすることが可能です。
具体的に考えてみると、月額10万円の賃貸物件があったとして、これを経費扱いにするためには2割程度は自分で支払って8割を会社負担にすることが必要です。この8万円は年間で96万円です。2400万円の資産を高配当株に充てて配当利回り4%で運用すると96万円。これで役員社宅の経費をまかなうと会社の利益はなくなり、税金もなくなります。
この組み合わせにより、実質2400万円分の配当株が非課税になるというわけです。夫婦で新NISA2400万円、法人の給与所得控除1375万円、役員社宅で2400万円と、合計で6175万円の非課税高配当株が誕生します。
1億円の資産運用でも6175万円が引かれれば、3825万円の資産にしか課税されなくなるというわけです。これを4%の高配当で運用すると配当金が153万円になります。夫婦であれば、妻の配当をこの153万円のうち48万円割り当てると、基礎控除の48万円で消えて、課税所得は0円になります。
そして残るのが153万円から48万円を引いた105万円。これを総合課税にすると社会保険料が上がってしまうのを避けて源泉徴収をされたとしても21万円。素直に1億円の4%の配当金400万円で取られる80万円の税金から大幅に下げることができました。
まとめ
今回は、お金を貯める以外で意外なFIRE達成前にやっておくべき準備についての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。
- 確定申告に慣れておく
- 簿記資格を取得する
- 信用金庫で預金を積み立てる
- 個別株投資に慣れておく
- 新NISA枠を上限まで利用する
- 法人設立について学んでおく
- 家を買わない(借りる)
つまり、FIREするには*前の準備がおすすめです。そのため、上記のリストを完遂しましょう!
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