iDeCoは使いたいけど出口戦略が考えられないから手を出しづらい人は多いでしょう。今回は、計算したiDeCoの受け取りの最適解の口コミ記事を書きます。これでiDeCoという減税政策の恩恵を最大限享受することができます。
- iDeCoは給料にかかる税金が減るが受取時に収入として税金がかかる
- 受取時には一時金受取と年金受取が選択でき、それぞれに非課税枠がある
- 退職金との合算金額が多い場合は一時金受取と年金受取を併用して両方の非課税枠を利用できる
iDeCoとNISAの課税や非課税に関して正しく理解する
iDeCoはどのように受け取るべきか、それを踏まえてiDeCoに加入すべきかについて考えてみたいと思います。難しいから、分からないものには加入しないという手もあるのですが、iDeCoの非課税枠は毎月の上限が決まっています。つまり、iDeCoに加入しないと毎月非課税枠を失い続けている状態といえます。本当にお得ならば、すぐにでも投資すべきです。
最初に考えたいのが、iDeCoとNISAはどちらが良いのかと話です。資本が少ない時はiDeCoは60歳まで資金拘束されるのでNISA一択です。一方で、60歳まで使わないことが確定している資金がある場合には、しっかり最適解を考えて投資をする必要があります。
iDeCoとNISAがどの税金がお得なのか
まず税金の損得について考えてみます。 通常の特定口座の場合には、株式投資では売却時に税金がかかります。しかし、NISAもiDeCoも売却時には税金がかかりません。株や投資信託などでNISAやiDeCoに限らず特定口座に関しても、購入時と運用中は非課税です。株の税金は売却時にその時の利益に対して発生するのです。
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運用中に課税されるパターンがあって、配当金や投資信託の分配金が発生する場合です。これは利益の一部を売却したことと同じ扱いで税金が発生します。そのため、配当金を出さない株や分配金を出さないeMaxisSlim全世界株式のような分配金のない投資先の場合には運用中は非課税です。
ただし、手数料が発生する可能性はあります。株式に関しては、保有中に手数料はありませんし、購入時や売却時の手数料もSBI証券を使えば発生しません。しかし、投資信託の場合にはeMaxisSlim全世界株式などでも購入時と売却時には費用は発生しないものの、信託報酬という手数料が発生します。とは言え金額は少なく、税金ではありません。
iDeCo特有の税金的にお得な側面
特定口座とNISAは株の売却時に税金が発生するかしないかという違いなので分かりやすいのですが、iDeCoは給料を受け取った時の所得税や住民税が減額されるという特殊な措置があります。給料に限らず、自営業などの収入であっても、減税されます。(iDeCoの掛け金額の全額に対する所得税や住民税が非課税となります)
一方で、60歳などの受取時でiDeCoで投資して得た利益も含めた金額に対して受取時に課税されるということがあり、税金の先送りという印象があります。特定口座で株を売却した時と同じようにiDeCoも受け取るために売却した時に課税されることになります。
特定口座とiDeCoで取られる所得の種類は違います。特定口座で株を売却した場合は、その利益部分に対して申告分離課税であれば20%の株式譲渡所得に対する税金が発生します。これについては、NISAにしてもiDeCoにしても株式譲渡所得に対する税金は発生しません。
iDeCoで発生するのは、iDeCoで投資した利益だけではなく元本を含む金額の全額に対してです。特定口座でも利益部分だけだったのに、iDeCoは元本を含む全額にかぜいされるなんて、全く無意味な制度・・・と思ってしまいそうですが、iDeCoは、投資時に元本である給料から税金が引かれているので、先送りされたという感じです。一応、株式譲渡所得に税金がかからないだけ特定口座よりはお得といえます。
[寄り道] 税金の先送りのメリット
少し話はそれますが、例えば100万円の税金を30年後に同じ金額支払えばよいという場合の先送りはお得です。100万円を年利5%で30年運用すると432万円になります。この432万円から100万円を支払い、残りの332万円がもらえることになります。
iDeCoがお得な人と損な人、お得な受け取り方
税金の先送りのiDeCoですが、投資時の給料所得からの減税額と受取時の退職所得からの課税額は同じ金額ではありません。そのため、減税額が大きく、課税額が少ない場合には先送りされるだけではなく税金的にもお得になります。逆に減税額が少なくて、課税額が多い人は損といえます。
損する人
損するパターンで一番発生しそうなパターンは、専業主婦などで収入がない人の場合です。そもそも、所得税や住民税を支払っていないのでiDeCoで投資したとしても、投資時の減税はありません。一方で、投資金額が多く最終的な受取金額が多かった場合には退職所得に対する課税が発生します。それでも特定口座に比べて投資の利益部分の株式譲渡所得の分は非課税ではありますが、明らかにNISAに劣ります。
専業主婦などもiDeCoへの投資は可能だけれども、そのメリットは収入がある人に比べると圧倒的に少ないということです。
得する人
一方でお得になる可能性が高いのは年収が高く所得税率が高い人です。給料所得の所得税率よりも退職所得の所得税率が低いのであれば、税金の先送りだけではなく税金の減額の効果があります。iDeCoの合計額のほうが給料の年額よりも大きな金額になりそうな気がしますが、iDeCoの受取金は退職金と同じく2つのお得な税度があります。
まず一つ目が、「退職所得控除額」というものです。これが非常に大きな金額で、その金額よりも少ない金額になっていれば退職所得が0ということで、受取時の税金がなくなります。さらに退職の収入は「1/2」で計算されるという特別ルールもあります。例えば退職収入が2000万円あって、退職所得控除が1000万円であれば退職所得は1000万円・・・となるはずがさらに半分の500万円が税金の計算に使われる金額になります。
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多いと記載した退職所得控除ですが、勤続年数を使って下記の式で計算します。22歳から60歳までの38年間同じ会社で働いた場合には2060万円が退職所得控除になります。iDeCoの総額が2000万円であっても全て控除されて、受取時の税金は発生しません。
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この退職所得控除ですが、iDeCoの金額だけではなく、企業型の確定拠出年金や退職金も退職所得の金額に加算する必要があります。つまり、退職金が非常に多い会社の場合には退職金でこの退職所得控除を使ってしまいます。投資時のポイントとしては年収が高い人におすすめですが、一方で受取時の税金を考えると退職金が少ない人におすすめということになります。歴史のある大企業というよりはベンチャーや新興企業で給料の高い会社の人がお得です。
[寄り道] 転職した時のiDeCoの退職所得控除
会社を辞めたりして勤続年数が短い場合はどうなるのか気になるところですが、この場合にはiDeCoの加入年数が勤続年数よりも長い場合にはiDeCoの加入年数で計算できます。
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転職などをすると退職金が少なくなりやすいので、このルールは非常に活用しやすいです。そこで、59歳で仕事を辞めて退職金を受け取り、60歳でiDeCoの掛け金を受け取れば退職所得控除を最大限お得に活用できそうですが、そう簡単には行きません。60歳でiDeCoを受け取る場合、41歳以降に受け取った退職金の金額は60歳でiDeCoを受け取るときの退職所得控除から差し引かれます。
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iDeCoは年金形式でも受け取りが可能
iDeCoですが、一括ですべて受け取る場合には上記で説明した退職所得になるのですが、60歳以降に年金形式で受け取ることも可能です。この場合、公的年金等控除という控除が受けられるので、こちらの受け取り方もお得です。
そして、一括受け取りと年金受け取りの併用も可能です。この場合は、退職所得控除と公的年金等控除の2つの減税措置を享受できるので、最もお得な受け取り方になります。
そのため、年金受け取りの場合の控除について調べてみます。年齢によって年金の非課税金額は65歳未満が60万円。65歳以上が110万円となっています。
年金に関しては、現在では前倒ししていなければ65歳からの受け取りとなるため、60歳~64歳の公的年金等控除の枠は一般的には使えないのですが、iDeCoを60歳の一時金と60歳~64歳の5年間の年金受け取りの併用をすることで、60歳~64歳の公的年金等控除を最大限活用できます。今後、年金受け取りが67歳からなどになる場合には60歳~66歳の7年間の年金受け取りの併用となり、さらに活用やすくなります。
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個別に計算は必要になりますが、iDeCoの受け取りは60歳の一時金と60歳~64歳の5年間の年金受け取りの併用が最もお得な受け取り方になりそうです。
年金と退職金の受け取りをどうすると最高に節税できるか
それぞれ、自分の場合の計算をしたいはずで、これは無限にパターンがあるので全パターンは網羅できませんが、何パターンか考えてみます。
退職金で60歳で全て受け取る
まず、勤続年数とiDeCoの加入年数を元に退職所得控除の金額を計算します。20年だった場合には800万円です。
そして、iDeCoの受取金額と退職金の金額を合計します。この金額が800万円以下であれば、素直にすべてを60歳に退職一時金ですべて受け取ればよいです。受取時の税金は発生しません。
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年間60万円を5年間年金受け取りし、残りを退職金で受け取る
年金は65歳から受け取るとして、60歳~64歳の5年間の年金受け取りするとします。これで300万円のiDeCo受取非課税枠が増えます。
勤続年数とiDeCoの加入年数を元に退職所得控除の金額を計算して、勤続20年だった場合には1500万円です。さらに年金受け取りの300万円を加算して1800万円です。iDeCoの受取金額と退職金の金額を合計がこの金額を下回っている場合には受取時の税金は発生しません。
年金を66歳から受け取る場合にはさらに110万円の非課税枠の増加、年金を67歳から受け取る場合には220万円の増加をさせることも可能です。
税率5%の範囲で退職金受け取りと年金受け取りを併用する
受取時の非課税化は上記の金額が限界です。そこで、退職金受け取りと年金受け取りを併用して、所得税率の最も低い5%に抑える案です。
所得税は課税所得の195万円以下が5%です。退職所得では1/2での金額計算になるので、退職所得390万円までは5%の所得税率になります。この場合でも退職所得控除は使えるので、勤続20年では800万円の控除で、これに退職所得390万円を足した1190万円を退職一時金に設定します。
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次が年金受け取りです。こちらは60歳以降も働いたり、投資の利益があったりなどパターンが増えすぎるので他の収入がない前提とします。また、年金は65歳から受け取るとします。
年金受け取りは退職金受け取りと違って1/2の計算はありません。所得税なので195万円までが5%です。
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さらに年金は金額が増えるごとに控除の金額が増えます。195万円の年金収入は120万円程度の所得になり、所得195万円は収入で言うと年金収入が年間296万円になります。これが5年分になるので、合計1480万円が税率5%のラインになります。年金収入の1480万円の5%が所得税になるわけではなく、年金所得の5%が所得税になるため実際には合計9.7万円程度の所得税で税率は3.3%程度です。
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退職金と年金の5%ラインを合計する
税率5%のラインであれば、退職一時金で1190万円と年金1480万円の合計2670万円が、退職金とiDeCoの受取額の合計を下回っていれば良いことになります。勤続20年の退職金の場合なので、ほとんどの場合でこのラインには収まると思います。
退職金は1/2計算ではあるものの一括で所得税が計算され、一方で年金受け取りは受取年数が5年であれば5倍の上限金額になるため、退職金受け取りを優先しつつも、超えた分は年金受け取りで消化させるのが最も良い方法となります。
現在のルールでは中小企業サラリーマンのiDeCoは月に23000円が上限で年間27.6万円。ここから投資のリターンはあるものの、退職所得控除の非課税枠は年間40万円増える。退職金がない人であれば、素直にiDeCoの受け取りは退職所得控除で全て消化できると思います。
今後はiDeCoの枠が増加する予定のため退職所得控除の枠を大きく上回る可能性が高く、iDeCoの加入期間や勤続年数、退職金なども含めてさらに計算しないとお得になるかわからなくなります。その時の非常にザックりな基準としては、自分の給料の所得税率が20%を超えている場合にはiDeCoの上限額を毎月投資、所得税率が10%以下であれば年間投資額は30万円程度までにしておいた方が良いでしょう。
まとめ
今回は、計算したiDeCoの受け取りの最適解についての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。
- iDeCoは給料にかかる税金が減るが受取時に収入として税金がかかる
- 受取時には一時金受取と年金受取が選択でき、それぞれに非課税枠がある
- 退職金との合算金額が多い場合は一時金受取と年金受取を併用して両方の非課税枠を利用できる
つまり、iDeCoで受取時の税金を抑えるには一時金受取と年金受取を併用がおすすめです。
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