子供に贈与したお金の最大限効率的に資産運用したい人は多いでしょう。今回は、子供に贈与の株式投資の基礎控除活用の口コミ記事を書きます。これで家族トータルで税金的にお得な投資を実現することができます。
- 子供であっても基礎控除があり、給料がなければ投資利益の減税に使える
- 社会保険の扶養がある場合には株の譲渡益と配当金の合計が年間130万円を超えないように注意
- 非課税の範囲で利確する場合には複利効果は減らずに、最終の納税額は減るため最終手残りが増える
子供であっても基礎控除はある
新年が明けて新しい年が始まります。そうなると、暦年贈与の課税計算期間も変わります。1年を通してお金がある時に子供に年間110万円を上限に贈与していけます。多少は上限を超えても、税額は大きくないので気にしなくていいです。
子供に贈与して、子供の証券口座で分配金のないオルカンなどの優良インデックス投信を買って終了。これでも良いのですが、私も気が付いていなかったのですが、子供であっても基礎控除があることがポイントです。これが、現状だと所得税で48万円、住民税で43万円の控除枠があるのです。
一方で、給料はないため所得税の103万円の壁や住民税の100万円の壁はあまり子供には関係ありません。とにかく、所得税の48万円の壁と住民税の43万円の壁が重要です。
毎年の基礎控除を活用すると「課税対象額が圧縮」される
さて、子供の口座でオルカンなどで大人になってから売却して利益を出す方法ですが、もちろん、税金がかかります。源泉徴収や申告分離課税の場合には所得税が約15%と住民税が約5%です。1000万円の投資で2000万円に増えていた場合には利益の1000万円に所得税と住民税がそれぞれ掛かります。
ここで、毎年の基礎控除の枠を活用するプランを考えます。投資した利益が出たら毎年利益を確定していくプランです。毎年5%増えていく場合、100万円に投資をして105万円になると5万円の利益。この5万円は基礎控除の枠で収まるので非課税です。これを毎年繰り返すと1000万円の投資で1050万円になると50万円の利益。所得税は基礎控除48万円を使うと2万円が課税対象、住民税は基礎控除43万円を使うと7万円のみが課税対象。さらに、未成年の特別ルールがあり、非課税になります。
つまり、圧倒的に税金が減ります。子供の基礎控除はうまく活用していきましょう。
子供の住民税の「特別な非課税ルール」
ここで注意したいのは、まずは住民税の均等割です。株の利益の金額が増えてくると注意が必要です。しかし、未成年の場合には所得が135万円以下であれば非課税になります。つまり、株の利益(譲渡益と配当金の合計)が年間135万円以下であれば住民税は0円になります。成人の場合には45万円になるので、大きな差です。
親の所得税の扶養控除
次が扶養控除です。これは子供側の税金ではなく、その親の税金に影響が出ます。この扶養控除ですが、15歳以下の子供は関係ありません。児童手当が貰える代わりに、扶養控除はないからです。16歳以上の子供の場合にのみ注意です。
16歳以上の子供の場合には下記が扶養の条件です。子供の年収がアルバイトで年末が近くなるとバイトを休まないと行けないという話が出ている今話題の話です。アルバイトの場合には下記の通りとして、株の利益の場合ですが、こちらは年間の利益が48万円を超えると扶養控除の対象から外れます。
年収の壁議論で103万円が123万円になった場合ですが、基礎控除が58万円に増える関係でこちらの上限も58万円に変わると考えられます。
扶養控除を捨てるという手もあるのですが、その場合の影響を考えてみます。
扶養控除額は所得税が38万円で住民税が33万円です。
所得税の税率は5%~45%で親の年収によって変わりますが税率20%の場合には38万円の20%で7.6万円と無視できない金額です。
住民税は10%で、33万円だと3.3万円の減税効果が失われます。
この場合には合計で10万円にもなり、捨てきれないものになります。19歳以上だと扶養控除の金額は更に上がるため、更に影響が大きいです。
→結論、扶養控除は捨てれない。
参考までに勤労学生控除
株の利益の場合には関係ないのですが、アルバイトをする場合には勤労学生控除というのがあります。
令和7年の税制大綱
この部分に関して、令和7年の税制大綱で大学生年代には特例が追加される見込みです。具体的には19歳から22歳の間は所得上限が85万円までは扶養控除の対象になります。
社会保険の扶養
所得税及び住民税の扶養以外に社会保険の扶養というものがあります。こちらは、年間所得ではなく年間収入が130万円未満である必要があります。株の利益の場合には給料所得控除のようなものはないので、所得でも収入でもあまり気にする必要はありません。
所得税は住民税は収入が基準を超えてもそこまで金額は大きくかかりませんが、社会保険の扶養を外れてしまうとその金額から出していでも年間6.5万円程度の健康保険料の支払いが発生するので、こちらは親が会社員であれば絶対に超えないようにする方が良いです。一方で、自営業の場合には国民健康保険になり、扶養という概念がありませんので、こちらは関係ありません。
株の利益の場合には関係ないのですが、給料の場合には年間で106万円を超えると働き先の社会保険に加入することになり、社会保険の扶養から外れます。が、学生は関係ありません。年間収入130万円の方が基準になります。
配当控除
ここまでは、すべてが株の利益=譲渡所得の場合のみです。投資信託の場合にも差額の利益は譲渡所得です。そして、ここからは配当や分配金について考えていきます。
配当や分配金に関しても確定申告をしなければ20%が源泉徴収されるのですが、確定申告する場合には総合課税にする方法と申告分離課税にするという方法を選べます。そして、ほとんどの場合には総合課税を選ぶ方がお得になるので総合課税で申告する場合について説明します。
配当金や分配金を総合課税で確定申告する場合、配当控除というものが登場します。これは国内の株式のみで海外株式には関係ありません。国内株式の配当金の配当控除は10%です。この分が所得税から引けます。
所得税率は下記の通りで、所得税は年間所得が約330万円までは10%。この税率が0%になるので、株の譲渡益は全くなく、配当金が年間330万円であれば結果として所得税がかかりません。
配当の分配金の場合ですが、配当控除は国内株式の割合が50%以上であれば5%になります。こちらも海外株や債券などを含む投資信託の場合には配当控除は0%や2.5%などに下がります。つまり、配当控除を使いたければ国内株式の投資信託を選ぶことになります。
そして、国内の配当型の投資信託には良いのがないので、結論としては配当控除を最大限お得に使いたければ国内株式現物を選ぶことになります。ただし、所得税率5%のラインが年間所得195万円なので、国内の高配当投資信託に良いものがあれば十分選択肢にはなります。
上記の配当控除は所得税の方の話で、住民税は配当控除が2.8%で住民税率が10%のため、結論としては7.2%の住民税になります。源泉徴収や申告分離課税の5%より税率が悪いので所得税でそれ以上のお得がないと損します。とはいえ、未成年は年間135万円まで住民税が非課税になります。源泉徴収にすると取られたままですが。。
考えをまとめていく
色々な検証をしていきましたが、一番重要な点は社会保険の扶養です。これは超えないようにします。そうなると年間の収入は130万円までにする必要があります。この年間130万円は株の譲渡益と配当金の合計額です。親が会社員で協会けんぽなどの健康保険組合に加入している場合です。
この年間130万円に抑えたとすると、18歳以下の住民税は年間135万円までは均等割も所得割も非課税。そのため、住民税は考える必要がありません。子供が19歳以上になると再検討が必要です。
次が親の扶養ですが、こちらは15歳以下は扶養控除がないので気にしなくていいです。一方で、16歳以上は58万円、19歳以上は85万円というポイントがあるので、子供が16歳以上になると再検討が必要です。
最後は取得税です。これは株/投資信託の譲渡益と配当金で違いが出てきます。株/投資信託の利益の場合には年間48万円(今年から58万円になりそう)が上限です。しかし、国内配当金の場合には330万円までが配当控除で非課税になり、年間130万円でも完全に非課税になります。
株/投資信託の利益が48万円と配当金が82万円(株の利益58万円と配当金が72万円もOKになりそう)の合計130万円の場合、株の利益が基礎控除で非課税、配当金は配当控除で非課税。結論としてすべて非課税にできます。
これらをまとめると、株/投資信託の利益が48万円と配当金が82万円未満(株/投資信託の利益58万円と配当金が72万円未満もOKになりそう)の合計130万円未満であれば、18歳以下は所得税・住民税・社会保険料が非課税になります。ただし、16歳以上は親の扶養控除があるので、130万円未満ではなく58万円以下にするのが最適になります。
まとめると下記の通りです。子供が15歳までは資産がそこまで多くないため利益もそこまでは増えず、あまり何も考えなくても非課税にできそうです。この場合の投資先は国内株式になります。
具体的な戦略
以上を踏まえると子供の資金での投資先は「投資信託」か「国内株式(配当狙い)」になります。投資信託の場合には海外株でもOKです。一方で、配当は国内株狙いになります。
投資信託のみで運用する場合には非常にシンプルで、18歳までは投資信託の年間利益が48万円(58万円に増える見込み)以下になるように利益確定して、再投資。そして、19歳以上になったら働き始めるまでは投資信託の年間利益が85万円以下になるように利益確定して、再投資。
国内高配当株投資の場合
国内高配当株投資をする場合には、15歳までは年間130万円の配当金までは特に問題なし。それを超える場合には社会保険の扶養から外れてしまうので、分配金のない投資信託に投資して利益確定しない。何らかの理由で国内株式を売って利益が出てしまった場合には、その分と配当金を合計した金額が130万円を超えないようにする。配当利回り4%でも資産が3250万円必要なので、配当金130万円は中々超えないでしょう。
16歳以降の運用では配当金は年間58万円までに収まるようにしておく必要があります。増配も含めて18歳時点で配当金の合計が58万円を超えないラインがターゲットです、19歳以降は枠が増えるので問題ありません。この調整タイミングは16歳以上になってしまうとできないので、15歳までに調整が必要です。(15歳までに18歳時点の配当金58万円の調整が必要)
14歳までは配当金は増やせるだけ増やす。そして、15歳の時で国内株式を売却(利益の合計58万円まで)して、18歳時の配当金の合計額が年間58万円以下になるように調整する。国内株式を売った分は、無分配の国際株式投資信託にしておく。15歳株式の含み益は非課税範囲内で減らせれるだけ減らしておく方が良いので、国内株式投資でも年間58万円までは利益確定(利益の出た国内株式を売って同じ銘柄を買いなおす)をしておきましょう。そうすれば、15歳での利益金額を58万円に抑えやすくなります。(次の章を参照)
なお、15歳で58万円の利益確定を超えてしまう場合ですが、16歳以降で扶養控除から外れるのは非常に痛いので、健康保険の扶養から外れない範囲(年間の収入130万円未満)であれば、15歳での譲渡益の税金は58万円を超えた部分のみ、かつ所得税のみになるので大きな問題はありません。とはいえ、その場合には配当と譲渡益の合計130万円を超えやすいので、そうなった場合には働き始めて親の扶養から外れるまでは含み益のまま放置するといいでしょう。いずれにしても、毎年こまめに利益確定しておきましょう。
途中で利益確定することによる複利効果の影響
上記は毎年利益確定するので、最終的な利益確定時の税金は減るけれど複利効果がなくなるのではないか?と考えてしまうかもしれませんが、売った翌日には同じ銘柄を買いなおすので複利効果はなくなりません。
利益確定してしまうことが複利効果を減らしてしまう要因になるのは、利益確定による税金です。利益が出ればいずれにしても税金がかかるので、途中で利益確定しても、最終的に利益確定しても税金を払うことには変わらないのですが、途中途中で税金の支払いに使われてしまった資金に対するリターンがなくなることが、途中利益確定の問題です。
しかし、今回の利益確定は非課税の範囲内での利益確定です。税金の支払いはなく、税金の支払いに使われてしまった資金に対するリターンがなくなりません。一方で途中の利益確定のために最終的な1年での利益金額が減り、トータルの税金は減ります。
分かりづらいので具体的な数値で説明します。毎年100万円を追加投資し、年間リターン5%で10年間続いた場合を考えます。単位は万円単位で下記の通りになります。利益確定が58万円を超えるのが10年目のみで、63万円のうち58万円は非課税になるため、10年間でこの差額の5万円のみが課税対象になり20%の税率では1万円が税額になります。利益確定をした後の最終的な手残りは1320万円です。
次が毎年の利益確定せずに含み益を再投資した場合です。いずれの場合でも10年目の投資元本の合計額と資産評価額に差はありません。一方で途中で利益確定しなかった場合には含み益が積み上がり、321万円の利益に税金がかかります。税率20%で想定すると約64万円の税金で、最終的な手残りは1257万円です。途中で利益確定しなかった場合よりも63万円手残りが減ります。
一応、途中で税金が発生する場合の利益確定じのシミュレーションもしてみました。やはり複利効果が薄れます。途中で利確せずに10年目に利確した場合に1257万円になっていましたが、税金が発生する利確の場合には最終的に現金化した時の手残りは1249万円になります。税金がかかるのであれば、途中で利確は良い手ではありません。
今回は、途中で利益確定した場合に税金がかからないので、今回の場合は例外になります。
まとめ
今回は、子供に贈与の株式投資の基礎控除活用についての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。
- 子供であっても基礎控除があり、給料がなければ投資利益の減税に使える
- 社会保険の扶養がある場合には株の譲渡益と配当金の合計が年間130万円を超えないように注意
- 非課税の範囲で利確する場合には複利効果は減らずに、最終の納税額は減るため最終手残りが増える
つまり、子供がいる家庭では基礎控除の最大限の活用がおすすめです。
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