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節税のため一気に理解する所得税・住民税・年金・健康保険の基本

 税制を理解して節税を実現したい人は多いでしょう。今回は、所得税・住民税・年金・健康保険の基本の口コミ記事を書きます。これで自分がどんな税金を引かれており削減ができるのか理解することができます。

  1. 給料から差し引かれるのは、所得税・住民税・年金・健康保険が主な項目。
  2. 所得税は収入によって税率が上がるが、住民税は税率は変わらない。
  3. 厚生年金はお得ではないけど、健康保険組合はお得。
目次

給料から天引きされる税金と社会保険料

 日本で生活している上で自動で給料から天引きされる税金(及び保険料)にはどのようなものがあるかご存じでしょうか。まず、日本の税制は分かりにくくしていて税金と社会保険という区分があったりしますが、どちらも名前が違うだけで実質的には両方とも税金です。

 社会保険は、大きくは「年金保険」と「健康保険」があり、年金は高齢者から労働年齢の人がお金を仕送りする仕組みです。とは言え、年金は支払っておかないと後で貰えまん。また、怪我をしたときの障害年金というものもあり、これも年金を支払っていないと貰えないので注意が必要です。

 健康保険の方は病院などに行ったときに使う保険証。これを使うことで医療費が3割の負担で済むというものです。年金にしても、健康保険にしても、サービスを受けないつもりなら支払わなくていいというものではなく、支払いは義務になります。だから、実質税金です。

 細かく言うと金額はそこまで大きくないのですが、給料から雇用保険料も取られます。FIRE後や自営業の場合には関係ありません。

 税金は、大きく「所得税」と「住民税」があります。自分の住んでいる市や県に支払うのが住民税。そして、国に支払うのが所得税です。節税などと言うと、主にはこの4つのそれぞれについて、対策を検討することになります。

所得税

 まずは、それぞれがどのくらい取られるものなのか把握しましょう。税金や社会保険料の計算は難しくて、住んでいる場所や家族構成、年齢により変わるのですが、ざっくりでいうと年収が500万円だとして、所得税が14万円、住民税が25万、健康保険が25万、厚生年金が45万・・・あとは雇用保険で3万円がとられます。

 所得税よりも住民税、税金よりは社会保険料が多く引かれるという点は意外と知られていないかもしれません。社会保険料も税金みたいなものですが、一応分けるなら、税金が高いというより、社会保険料が高すぎという気がします。

所得税の税率

 まずは、税金の代表のようなイメージの所得税。とは言え、上記の4つの中では一番一番金額が低かったものです。所得税はいわゆる累進課税と言われるものになります。分かりやすく言うならば、お金を沢山貰っている人ほど税率が高くなるというものです。

 年収100万と年収1000万の場合に、同じ税率ならば税金の金額は10倍になります。しかし、累進課税の場合には年収100万円の収入の場合には税率5%。一方で、年収1000万の場合には税率は20%・・・それにより。税金の金額は10倍ではなく40倍になるというようなものです。

 具体的な税率表は下記の表の通りです。税率は5%~45%の範囲です。しかし、これの基準になっているのは収入ではなく所得(課税所得)になります。また、控除額もあるので、年収1000万の税率が33%になるわけではありません。

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所得税の控除額

 税率に関してですが、収入ではなく所得の話は難しいので後に回すとして、控除額の話を先にすると一定のラインを超えるといきなり税率が跳ね上がるのではなく、例えば所得が500万円の場合には、195万円までの部分の税率が5%、195万円~330万円までの部分の税率が10%、330万円~500万円までの部分の税率が20%となります。

 つまり、年収が上がったのに税率上昇で手取りが減るというような逆転現象は所得税では起こりません。あくまでもラインを超えた部分の税率のみが上がるのです。

課税される所得金額

 次に課税される所得金額、いわゆる課税所得についてです。先ほどの記載の通りで、収入に対して全て所得税が課税されるわけではありません。所得・・・の一部である課税所得が税率計算の対象になります。

 まずは収入と所得の基本的な差ですが、収入から経費を除いたものが所得になります。サラリーマンの場合には自営業と違って基本的に経費のようなものは会社で清算してしまってないのですが、そうは言っても何かと仕事をしていればお金がかかる。スーツなども必要だったりします。

 そこでサラリーマンには、実際にお金を使ったかどうかは関係なく、一律で税金の計算上は給料所得控除という経費があったことになります。その部分に関しては、税金の対象から外れるというありがたいものです。税金の計算から外されるだけで、実際にお金がとられるわけではありません。

さて、この給料所得控除ですが55万円~195万円という幅で年収850万までは控除の方も徐々に増えていきます。税率自体も年収が低いと低いのですが、この控除が割と大きく、年収があまり高くない人ほどこの影響が大きく、所得税に関しては収入が低い人に非常に優遇されています。例えば給料が55万円であれば、所得税は0円です。

収入から経費を差し引いた額が所得になると簡易に説明していますが、収入から経費を差し引いた額の損益通算すると「合計所得金額」、さらに繰り越し控除を行うと「総所得金額等」になります。
そして、次のステップで説明している各種所得控除を差し引くと「課税所得金額」、それに税率をかけ合わせた金額が「算出税額」、ここから税額控除を差し引くと「納付税額(最終的に支払う金額)」になります。

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 次が、手取りです。手取りは、収入から税金や社会保険料が除かれたものです。所得というのは、税金を計算するものとしては使うものの、実際に手に入る手取りは所得とは直接的には関係ありません。

 さて、次が課税所得。この課税所得と所得の違いが一番の鬼門です。サラリーマンの年収から、サラリーマンとしての経費が除かれ、そこに税金がかかるのではなく、各個人の状況に合わせて、更に税金の対象となる収入を減らしてくれる控除というものがあります。

公的年金等控除額

 給料の場合には上記の給料所得控除で、年金の場合には公的年金等控除というものがあります。年金は雑所得と呼ばれる税制的には優遇の少ない所得に分類されていますが、この公的年金等控除のおかげで年金だけは優遇されています。厚生年金の平均である180万円位で見ると65歳以上であれば、110万円が控除の対象になります。

 給料で180万円であれば、控除は62万円だったので年金は優遇されすぎている印象さえあります。60歳未満では別の計算式になるのですが180万円であれば107万円の控除と同様に非常に大きな優遇装置です。住民税の方で説明しますが、この影響で年金生活者の多くが住民税非課税世帯になり、様々な恩恵を受けることができています。

所得控除と税額控除

 控除には、先ほどの給料所得控除以外の所得控除があります。まずは基礎控除。これはほぼ全員が対象となる控除で48万円になります。他にも、子供や配偶者を養っている人であれば、扶養控除。生命保険に入っているならば、生命保険料控除、ふるさと納税の寄付控除など色々あります。

 所得税の計算には、実は先ほどの社会保険料も影響してきます。社会保険料の計算が先にされていて、社会保険料を支払った金額は社会保険料控除という形で、所得税の請求対象から除外されます。社会保険料の金額はすごい金額なので、これが一番の控除であったりします。

 所得税の控除には、上記の所得控除以外に「税額控除」というものもあります。所得控除と税額控除では控除されるタイミングが違います。所得控除は所得から最初に引かれるもので、この差額(課税所得)に対して所得税が発生します。

 一方で税額控除の方は、課税所得に税率を掛けて、税額を計算した後の金額から差し引かれます。そのため、所得控除100万円と税額控除100万円の場合、実際に税金が減る金額には大きな差があります。まず、所得控除100万円の場合ですが、こちらは課税所得が100万円減ります。収入が500万円の場合には所得控除により400万が税金の計算の対象になり、所得税率が10%であれば40万の所得税。所得控除がなければ50万の所得税になっていたので所得税が10万円減ることになります。

 一方で税額控除100万円の場合ですが、収入500万の場合に所得税率が10%で所得税が50万だったとして、この50万円から100万円が引かれる。つまり、所得税は0円になります。最高でも0円ですが、所得税が100万円以上であれば税額控除で所得税は100万円が減ることになります。つまり、所得税においては所得控除よりも税額控除の効果が大きいということです。そのため、税額控除の場合にはそこまで大きな金額にはならないのですが。。

後ほど紹介する住民税非課税世帯になるという視点で考えると、税額控除ではなく、所得控除が重要になってきます。

所得税の所得控除

 主な所得控除について順番に見ていきましょう。

基礎控除

 基礎控除については、基本的には48万円という認識で良いと思います。所得が2,400万を超えると減額され、2,500万を超えるとなくなるという制限があります。

 サラリーマンの給料に対する給料所得控除の最低金額55万円とこの基礎控除の48万円を合計した103万円。この金額の年収である場合には、この時点で課税所得が0円になり、所得税は0円になります。これが103万円の壁と言われるやつです。

この所得税の非課税が103万円の壁です。

 ただ、所得税に関していうと、104万円になったところで、税金の対象になるのは1万円のみ。これに税率が5%だったとすると所得税は500円。収入が1万増えるのに対して、所得税は500円増えるだけなので、まぁ、別に壁を越えても気にする必要はないと思います。

扶養控除

次は扶養控除です。基礎控除が48万円とだけ理解すればいいのに対して、こちらは非常に厄介です。具体的な情報は下記の通りです。

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 上記の違いは何だろうとみていくと主には年齢だったりします。扶養対象ですが、まず一つ目が16歳以上というのがあります。15歳以下の子供を扶養していても、子供手当という手当が出る代わりに所得税の扶養控除はないのです。

15歳以下は扶養控除の対象外というのは、意外なルールです。
これに関しては、16~18歳の子どもがいる家庭にも子供手当が支給される影響で、上記の控除額が38万円から25万円に変更になります。さらにもう一段、難しいルールになりました。

朝日新聞デジタル
高校生年代の扶養控除が縮小、でも児童手当の支給で手取り額は増える:朝日新聞デジタル ■2024年度税制改正大綱 ポイント⑤ 24年12月から高校生年代にも児童手当が月1万円支給されることに伴い、16~18歳の子どもがいる家庭に適用される扶養控除が26年から縮小さ...

 次の特定扶養親族というものですが、19歳以上23歳未満という年齢の子供などを扶養している場合に適用される控除です。高校を卒業して働くのではなく、大学に行くなどで働いていない子供を対象にしている控除です。大学生の子供は学費などでお金がかかるから、通常の38万円よりも多い63万円を控除の対象にできるわけです。控除の金額=所得税の対象外なので、ここは大きい金額の方が良いです。

 老人扶養親族というのは、自分の親などが70歳以上で扶養の対象にしている場合に適用されるものです。親の年金が少ない場合には、子供が仕送りなどをしている可能性が高く、その場合に同居であれば58万円、別居でも48万円の控除が適用できます。

 扶養控除い似たもので、障碍者控除、寡婦控除、ひとり親控除、就労学生控除などがありますが、適用となる人は少ないと思いますので割愛します。そして扶養控除の中でも、一番利用されていそうなのが配偶者控除です。これは配偶者控除や配偶者特別控除など、一番複雑なので、別途次の項目で説明します。

配偶者控除・配偶者特別控除

 配偶者控除は、夫が方働きで妻が働いていないという専業主婦家庭(逆の場合も適用)などで適用される控除になります。

 分かりやすいように夫のみが働いている場合で説明すると、まずは夫の年収が1,195万円以上である場合には控除はなくなります。さらに年収が1,095万円以上の場合には扶養控除が減ります。ただし、そのような高年収の人は少ないと思うので、この部分はあまり気にしなくて良いでしょう。(細かくは給料所得のみであるか、所得金額などの条件なのですが、分かりやすいように給料のみの場合で説明しています。)

 次は妻の方が完全に専業主婦というわけではなく、パートやアルバイトなどである程度の収入がある場合の違いです。全く収入がない場合と年間103万円までの収入であれば、いずれにしても差はありません。基本的には38万円の扶養控除がつきます。

 更に妻の収入が年収150万円まで上がった場合です。実はこの場合でも扶養控除の金額に変化はありません。何が違うかというと、配偶者控除という名前から、配偶者特別控除という形に控除の名前が変わるのみです。どうでも良いですね。

103万円の壁は、上記の例では妻の所得税が発生するかしないかには影響があります。
ただし、夫側の扶養控除38万円が使えるか使えないかには影響がありません。
夫側の扶養控除38万円の方は妻の収入が150万円までは変わらないので150万円の壁と言われたりします。

 さて、配偶者特別控除は更に複雑です。妻の年収が103万円~150万円であれば、夫側の扶養控除は38万円と一定です。しかし、150万円を超えると全く使えなくなるのではなく、徐々に扶養控除の金額が減っていきます。そして、妻の収入が216万円になった時点で、扶養控除の金額が0円になります。

 徐々に控除が減って行くせいでルール的には難しい感じはしますが、壁らしい壁にはならないので、150万円も216万円も特に気にするようなラインではないと思います。

生命保険料控除

 地震保険料控除などもありますが、年間数千円程度とそこまで金額は多くない(基本的に地震保険で支払った金額が控除の対象で、上限5万円)です。そのため、この項目では生命保険料控除についての説明します。

 生命保険料控除の方もあまり難しいものではなく、年間2万円までは支払った金額の全額が控除対象。そして、それ以降は支払金額3万円で約83%、4万円で75%、6万円で約58%、8万円で50%、以降は4万円を上限というような感じで控除されます。

 生命保険料控除に関してですが、世帯では年間40万円近く支払っている場合が多く、これに対する控除額は上限の4万円。そして、所得税率が5%の場合は2,000円、10%などの場合でも4,000円程度の所得税の減額です。40万円の支払いに対しては4,000円程度(支払いの1%)だと余りにも少ない減額なので、生命保険料控除を理由に生命保険加入は絶対してはいけません。住民税の控除分(2800円)もありますが、こちらも微々たるものです。

寄付控除(ふるさと納税)

 次にご紹介するのは寄付控除です。寄付をした人が受けられる控除で、あまり活用する人がいないと思われそうな控除ですが、ふるさと納税という地方自治体への寄付に対する返礼品によって、非常に多くの人が活用するようになった控除です。

この控除に関しては簡単な説明としては下記の通りで、2,000円を除いた金額すべては控除の対象になるので簡単です。ただし、上限は総所得金額等の40%という上限があります。

が!!

正直なところ、ふるさと納税による節税は、この所得税の部分よりも住民税の特例分というところが節税のポイントなので、所得税で言うと「(寄付額-2,000円)×所得税率」が控除額になるというだけのもので、寄付をしたいのでなければ、別にお得ではありません。

 所得税と住民税の基本的な控除に加えて、住民税所得割額の2割以内であれば特例として2,000円を除いた部分が結果的に全額控除されるというのが、ふるさと納税がお得な部分です。住民税のこの部分は所得控除ではなく、税額控除です。)

このふるさと納税に関しては、総務省の下記のページが参考になります。結局のところ、上記のような難しい計算はあるものの寄付控除に関しては、いくらまでの金額をふるさと納税すれば「2,000円を除いた部分が税金還付されるのか」という所がポイントです。

 これに関しては参考値も総務省のページで情報提供してくれています。しかし、ふるさと納税のサイトのシミュレーションに自分の状況を入力して、寄付上限額を計算した方が良いでしょう。ただし、総務省の計算式は、実はiDecoや住宅ローン減税などの特殊な減税方法を取っている場合には、参考になります。

ふるさとチョイス
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小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)

 個人が法人化することで節税に非常に大きな効果のあると言われている小規模企業共済ですが、サラリーマンの場合でも活用可能な控除です。掛け金の全額が控除の対象になるのです。

 サラリーマンの場合に小規模企業共済等掛金控除を使うという場合には、個人型の確定拠出年金・・・iDeCoを使った場合に活用できます。自営業で年間約82万円、サラリーマンの場合には14万円~28万円の掛け金をかけることができ、これが所得控除として利用できます。

 iDeCoはNISAと並ぶ非課税の投資方法で、iDeCoもNISAも株の利益に通常は20%の税金がかかるところが非課税。ただし、NISAはいつでも株式を売却して現金化できるのに対して、iDeCoは60歳になるまで手元にお金を引き出せません。しかし、iDeCoにはこの所得控除があるため、投資するときも給料にかかる税金が減るというメリットがあります。

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所得税の税額控除

 税額控除は既に開設した通りですが、控除額が税金からそのまま差し引かれる控除です。例えば、所得税が60万円で、税額控除が20万円であれば、所得税は40万円になります。具体的な税額控除の例を説明していきます。

配当控除

 国内の配当金は法人税を差し引かれたあとに支払われるため、その二重課税を解消する目的で国内株式の配当金の税金にかかる所得税の一部を控除するのがこの配当控除になります。

 ただし、申告不要制度や配当金を申告分離課税にした場合には適用されず、配当金を総合課税で申告した場合にのみ適用され、控除率は10%です。投資信託の場合にも適用があり5%の控除があります。投資信託の場合には外貨建ての資産や株式ではないものが含まれている場合もあり、混在率が50%以下であれば控除率は変わりませんが、50%を超えて75%までは2.5%、75%を超えれば控除はなくなります。

 さらに、課税所得が1000万円を超えると控除は上記の数値の半分になります。具体的には下記の図の通りです。しかし、課税所得1000万円は非常に高いラインのため、国内株式の配当金を総合課税で申告すると10%の配当控除が受けられると理解していいです。課税所得330万円までは所得税率が10%で、そこに配当の控除が10%になるので、配当の所得税は0円になります。源泉徴収だと15%取られるので、課税所得が少ない場合には配当は総合課税がお勧めです。

外国税額控除

この控除は米国の株式や投資信託で配当金や分配金を受け取ったときなどに活用できる控除です。米国の場合には売却益に関しては現地での課税はないのですが、配当金などの場合には米国で10%の税金が取られ、更に日本側で20%の税金が取られます。この二重で取られる税金を取り返すことができるのがこの外国税額控除になります。

 しかし、この控除の難しいところは投資信託などの場合には自動で処理してくれる場合もあるのですが、米国株式の現物の場合には自分で確定申告の場合に配当金に対して、配当給付時の為替も考慮して税金を計算し申告するという主体的な行動がない場合には二重がぜいされたままとなります。しかも、申告の手間がそれなりにあるので、面倒くさい人は米国株式は現物ではなく投資信託を選ぶが、国内株式投資の方が良いでしょう。

 また、米国株式などの海外株の配当では、上記の配当控除も使えないので、配当の税金という視点で言うと国内株式の方が優遇されています。

住宅借入金等特別控除

 住宅借入金等特別控除は、住宅ローン控除と言われるもので、様々にルールが変わり続けていますが10年間ローン残高の0.7%の税金を減額できるというものです。当初は1%の控除で、住宅ローン金利が0.5%未満だったこともあり、10年間はローンを組んだ方が金利より減税額の方が大きいということで0.7%に変更され、昨今はローン金利も上がっているというような状況です。

 一般住宅と認定住宅などという分類や適用される条件や上限額など、簡単には説明できない難しい控除です。令和7年12月31日までという期限はついているものの、昨今の金利上昇から住宅が売れなくなる状況も考えると延長される可能性が高い控除であると思います。

 以上が所得税の主な解説です。さらに株式の譲渡益や配当金などの場合には別で計算する申告分離課税があったり、配当金に関しては申告分離課税と総合課税がえらべるなど、所得税に関してももう少し知っておいた方が良い内容もあります。

住民税

 次は住民税で、住民税には下記の5種類がありますが、基本的には「所得割」と「均等割」という二種類があると理解すればよいです。以下、東京都の情報です。

 均等割に関してですが、細かく分かれて書かれているのですが年額5,000円です。この金額は住民税の課税所得がある人は全て同じ金額の税金が課税されます。

 次に所得割です。こちらは住民税の課税所得に対して課税されます。所得税(国税)の方では税率が所得によって変わっていましたが住民税の方では一律10%です。所得が増えるほど元の金額が増えるために納税額は増えるものの、所得税のように税率自体が増えることはないので、所得が2倍になると納税額が4倍になるということは十見善では怒らず素直に2倍になります。

主税局
個人住民税|暮らしと税金|東京都主税局 東京都主税局の個人住民税(暮らしと税金)のページです。

住民税の基本的な考え方

 住民税の計算も収入から経費を差し引いた金額が所得になり、そこから所得控除と税額控除を処理して最終的な納税額になるという流れは同じになります。違うのは先ほど説明した所得税は所得割のみであるのに対して、住民税は均等割りという定額の課税がある一方で所得割の税率も10%と一定である点。あとは各種控除の控除額が違うという点などでです。これらの違いに関して説明していきます。

住民税の給料所得控除

 住民税もサラリーマンの収入にしたいする経費である給料所得控除に関しては同額になります。

公的年金等控除

 さらね年金に対する控除である公的年金等控除に関しても同額になります。

住民税の所得控除

 住民税の所得控除です。所得控除と税額控除の分類については基本的には所得税と住民税では同じになっていますが、その金額が細かく違うのが注意点となります。

基礎控除

 基礎控除ですが、所得税の場合には48万円だった控除が43万円になります。給料のみの収入の場合には、給料所得控除の最低額の55万円とこの43万円の合計98万円以下であれば課税所得が0円になります。

 ここで、100万円の壁という言葉を思い出します。上記だと98万円の壁になりそうなところですが住民税の非課税は別の計算になります。詳しくは別の項目で説明しますが、配偶者がいない場合には基礎控除の43万円ではなく下記の45万円が住民税の非課税の計算に使用されるため、給料所得控除の55万円+45万円が住民税の非課税のラインとなり、この合計額の給料収入100万円が100万円の壁になる訳です。

この住民税の非課税が100万円の壁です。
所得税の基礎控除が48万円、住民税の基礎控除が43万円。
だけれど、住民税の非課税は45万円で計算するというところが分かりにくいところです。

扶養控除

 扶養控除に関しても年齢などの条件区分に関しては所得税と同じになっていますが、控除額に違いがあります。具体的には下記の通りで、16歳以上19歳未満の控除額は所得税が38万円であったのに住民税では33万円。19歳以上23歳未満は63万円であったのに45万円と下がります。15歳以下が控除の対象外という点と所得要件が着く点は同じです。

配偶者控除・配偶者特別控除

 配偶者控除も基本的には所得税の38万円の控除に対して、住民税では33万円の控除になります。老人控除に関しては48万円の控除から38万円の控除になります。一方で、配偶者特別控除の所得100万円を超える部分の控除額は所得税と同じです。

生命保険料控除

 生命保険料控除の住民税の場合ですが年額12,000円までは全額ですが、生命保険を40万円年額で加入している場合には上限の28,000円が控除額になることが多いでしょう。住民税の方は税率が10%ですので、所得控除が28,000円であれば、減税額は2,800円になります。所得税分の2,000円や4,000円と合計しても40万円の保険料に対して6,800円の節税になるので、節税効果は期待できません。

小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)

 小規模企業共済等掛金控除にできるiDeCoに関しては、所得税と同様に住民税も全額が非課税になります。掛け金の上限額も所得税で説明した通りです。

住民税の税額控除

 住民税の税額控除です。住民税では、寄付控除の特別控除額を活用したふるさと納税が所得控除ではなく、「税額控除」になります。

寄付控除(ふるさと納税)

 ふるさと納税での寄付金額は「全額が所得控除と同等になる寄付の10%が税額控除である基本控除額」と「特例控除額」の組み合わせになります。特例部分がなければただの寄付になりますので、その部分が課税対象ではなくなるだけです。

 しかし、特例分である住民税所得割額の2割までは2,000円が差し引かれた金額分の全額の税金が控除されるので、特に税金が多い人には返礼品も含めてお得な制度になります。この住民税所得割額の2割に対する寄付額の計算は難しいので、素直にシミュレーションサイトを使いましょうというのは既に記載した通りです。

配当控除

 配当に関しては所得税の時にご説明の通り、非常に厄介です。申告の方法が「総合課税」、「申告分離課税」、「申告不要制度」と選べるからです。この配当控除を利用する場合には上記の内「総合課税」を選んだ場合です。

 しかし、「申告分離課税」、「申告不要制度」の場合の配当金の税率は10%ではなく5%になります。一方で、総合課税の場合には10%の税率になり、そこに配当控除2.8%(所得税の場合には10%控除でした)が適用されて7.2%が税率になります。住民税の場合には累進課税ではないので、基礎控除分を超える収入がある場合には総合課税で配当控除を利用するのは損になります。

 とはいうものの、所得税と住民税で配当の申告方式を変えることはできなくなりましたので、どちらで申告すべきかは総合的な難しい判断が必要になります。

外国税額控除

 外国税額控除は所得税のところで記載した通り、海外の配当金などに対する二重課税を取り戻すための控除です。基本的には所得税で控除しますが、所得税で控除しきれない場合には住民税から控除されます。基本的には所得税で処理されるものなので、住民税としては特に気にしなくて良いです。

住宅借入金等特別控除

 住宅借入金等特別控除は住宅ローン控除です。こちらも基本的には所得税から控除されるのですがその金額が控除しきれないので、その不足分は住民税から控除されます。こちらも基本的には所得税で処理されるものなので、住民税としては特に気にしなくて良いです。

年金保険料

 年金は、「国民年金」と「厚生年金」と「企業年金」の組み合わせになります。更に個人で積み立てる「確定拠出年金(iDeCo)」も組み合わせることが可能です。

 日本人の20歳以上の全員が支払うことになるのが国民年金。個人事業などの人はこの部分の支払いのみでOKな一方、この部分しか支給されません、一方でサラリーマンなどの給料所得者は厚生年金にも加入し、その支払いと受給を受けます。

 更に大手の企業などでは企業独自の企業年金(各企業の独自の制度のため説明は割愛)が加算されることもあります。そして、それでも老後の生活には金額不足であるので、個人で積み立てる確定拠出年金という制度も設立されました。

国民年金保険料

 年金の起草部分である国民年金ですが、こちらはみんな同じ金額になります。この金額は少子高齢化及びインフレの影響で、年々上がっていくと思われます。令和6年の場合には月額で16,980円ですので、年額で203,760円です。自営業などの3号被保険者がいない世帯では夫婦で2倍の40万円を超える金額を払うことになります。

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一方で受給額ですが、支払期間である40年間を全て支払った場合には年間816,000円が支給されます。

 年金は支払った金額に対して受給できる金額が多いのですが、これは保険料のみが財源ではなく過去の積立金からの収入に加えて国庫の負担=元は税金から支給されているのです。だから、年金の積立金を支払わずに受給権を得られない場合には、国庫の負担分は負わされるのに受給益は受けれないという状況になります。

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将来の年金は減らされるなどのマイナスの情報が多い年金ですが、国民年金お得と理解しましょう。

厚生年金保険料

 厚生年金はサラリーマンの多くが強制加入させられている国民年金に上乗せで受給できる年金です。国民年金が月額68,000円であるのに対して、厚生年金は合計で平均で月額15万円程度の支払いが行われるので、他に全く貯金がない人には非常にありがたい年金です。

 ただし、そのために大きな金額の厚生年金保険料を支払っていることを忘れてはなりません。厚生年金保険料は国民年金保険料とは違って、月収が増えることによって保険料も増額されます。

 この保険料も保険組合ごとに異なるなのですが、加入者が多い協会けんぽの保険料を参考に見てみると下記の通りです。右の2列が保険料の金額で、受給額の多くは年額で記載されているのに、請求額の多くが月額で記載されているという闇があります。

 この厚生年金保険料の罠である部分が「全額」と「折半額」です。厚生年金に関しては、自分の給料から惹かれる保険料と同じ金額だけ、所属している会社が社会保険料を払っています。そのため、サラリーマンが支払っていると感じる金額は折半額ですが、企業側が払っている保険料の原資は労働者の利益になりますので、その分が給料から減らされているとも考えられるので、実質の負担額は全額の方になります。

企業が支払うのではなく、企業はその分を給料として支給して全額を労働者が支払う方がシンプルなルールになるのですが、それだと保険料の負担が高すぎると感じさせるので、こういった複雑なルールにしていると考えられます。

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厚生年金受給額

 厚生年金ですが、受給額は下記の計算式で計算されます。シンプルな計算式ですが、平均標準報酬月額は毎年年収が変わるのと併せて毎年変化するので、計算自体は簡単ではありません。

 平均標準報酬月額ですが、4月~6月の3か月の平均の給料になります。税金が引かれる前の金額で、残業手当や家族手当、通勤手当なども含まれます。賞与に関しては年4回未満のものは含まれません。月収の大半の手当を含んだ額面という理解が近いと思います。

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 上記の計算式と下記の保険料から、保険料と受給額を比較していこうと思います。最小値である標準報酬月額88,000円と最大値である標準報酬月額650,000円で計算してみます。

 標準報酬月額88,000円の保険料の月額16,104円(全額)のため、年額だとその12倍の193,248円になります。受給額は88,000円に5.481/1000を掛けます。そして、40年=480か月の月数を乗算します。その結果の231,517円が厚生年金になり、国民年金の816,000円と併せた1047,517円になります。

 標準報酬月額650,000円の保険料の月額118,950円(全額)のため、年額だとその12倍の1,427,400円になります。受給額は650,000円に5.481/1000を掛けます。そして、40年=480か月の月数を乗算します。その結果の1,710,072円が厚生年金になり、国民年金の816,000円と併せた2,526,072円になります。

 以上から分かることが何かというと、国民年金は年間保険料の4倍近い年間受給額になります。40年間の保険料の支払いに対して、65歳から男性平均寿命の81歳までの16年間と受け取り期間の方が短いもののお得な状況ではあります。

 厚生年金の方は、ボーナスなしの年収が100万円程度であれば保険料に対して5倍以上の年金保険料を受け取れますが、ボーナスなしの年収が780万円以上の場合には、男性の場合に約143万円を40年間で5,720万円の支払い。一方で受給額は約253万円を16年間で4,048万円の受け取りることになります。

企業支払い分も考慮した場合、上記では支払った金額よりも受け取る金額が少なくなります。

厚生年金の闇

 年収が100万円程度のみで生活できるわけではないので多くの人が100万円よりも780万円の方に近いわけで、年金のシステムというのは国民年金を厚生年金で支えている状態です。だから、国民年金はお得だけれど厚生年金は給料が低い人以外においてはお得ではありません。しかし、会社の支給時点で天引きされるため逃れることもできません。

 そのため、会社が半分払っている部分はなかったことにして説明されます。そうすると男性の場合に約71万円を40年間で2,840万円の支払い。一方で受給額は253万円を16年間で4,048万円の受け取りという、会社が社会保険料を払わなかったかのような前提で厚生年金はお得と説明されます。

健康保険料

 サラリーマンが入るのは健康保険組合の健康保険ですが、自営業者などは国民健康保険に入ることになります。いずれも医療費の自己負担額が3割になる等保険の内容には大きな違いはないのですが、大きく2点違う点が「保険料」の違いと「扶養」の違いです。

 他にも健康保険組合ごとに保養所があったり、薬を安く買えたりなど、健康保険組合の場合には付帯サービスがつくことが多いです。

 国民健康保険にはない健康保険組合の特徴と言えば扶養です。専業主婦の妻を持つ夫が自営業の場合には妻も国民健康保険に加入して保険料を支払う必要がありますが、夫がサラリーマンの場合には健康保険組合に加入しており、夫の扶養に入るため、健康保険の恩恵は受けられるにもかかわらず、保険料を支払う必要がありません。健康保険だけではなく、国民年金も同様にサラリーマンを夫に持つ専業主婦の妻の場合には、年金の受給が受けられるにもかかわらず年金保険料を支払う必要がありません。

 国民健康保険の場合には妻だけではなく子供にも扶養という概念がないため、子供健康保険料も支払う必要がある点が非常に辛い所です。

この妻側の収入が無収入の場合だけではなく、ある一定の金額(106万円、または130万円)未満であれば、健康保険も年金保険も保険料を支払う必要がありません。
企業規模によって社員数が50人以下の会社では130万円未満、51人以上の会社であれば106万円未満になります。

この社会保険料が発生するかしないかが130万円の壁です。
学生の場合にはこの通りですが、学生ではない場合には企業規模の要件などはあるものの週20時間以上働いらいている場合には、働き先の社会保険に入ることになり、これが106万円の壁です。

社会保険の扶養(妻と子供の年金/健康保険料無料)

 非常に重要なポイントがこの社会保険の扶養です。国民年金や国民健康保険には、扶養という概念がありません。そのため、国民年金の加入者に専業主婦の妻がいる場合、妻の国民年金は支払いが必要になります。また、国民健康保険の加入者に専業主婦の妻や子供がいる場合、妻や子供の国民健康保険は支払いが必要になります

 しかし、サラリーマンなどで健康保険組合に加入している場合は違います。加入者に専業主婦の妻がいる場合、妻の国民年金は支払いは不要になります。また、加入者に専業主婦の妻や子供がいる場合、妻や子供の健康保険は支払いが不要になります。

 基本的にはこの通りですが、妻や子供に収入がある場合。収入の金額によって、妻や子供が社会保険料を支払う必要があるかないかが決まります。健康保険組合ごとに若干の差はありますが、協会けんぽの場合には130万円が収入の判定金額になります。この金額を超える収入がある場合には扶養から外れて、サラリーマンの妻や子供でも社会保険料を支払う必要が出てしまいます。(130万円の壁

 社会保険の扶養にはもう一つの判定基準があります。こちらは各健康保険組合に扶養として入れるか、入れないかではなく、妻や子供が給料をもらっている先の会社の健康保険に加入する必要があるか?の判断になります。こちらに加入した場合には、結果的に夫の社会保険の扶養から外れます。

 ただし、子供の場合にはおそらく多くの場合には学生であると思われるため、主には妻がパートで働いている場合の基準になります。色々な要件はありますが、給与が月額88,000円という部分がピックアップされやすいです。そして、これを年額に換算すると106万円となり、106万円の壁と言われています。

 この要件で実は下に小さい字で書いてある企業規模要件がポイントで、2022年10月~は従業員が101人以上、2024年10月~は従業員が51人以上という会社でないと条件に入りません。つまり、50人以下の社員が少ない会社の場合にはこの106万円で社会保険に強制加入というルールは適応されません。(ただし、ルール改正でこの企業規模の要件はなくなる見込みです)

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国民健康保険

 まず、個人事業主などが加入する国民健康保険ですが、住民税と同じく「所得割」と「均等割」の2つの合計値を支払うことになります。更に年齢によって、~39歳及び65歳~74歳は「基礎分」と「後期高齢者支援金分」の2つ。40歳~64歳の間は「介護分」も加算されます。

均等割

 国民健康保険料ですが、自治体によって多少は変わりますが~39歳及び65歳~74歳の均等割り分が、一人当たり49,100円+16,500円=65,600円。40歳~64歳の均等割り分が、一人当たり49,100円+16,500円+16,500円=82,100円

 夫婦であれば上記の2倍の金額。夫婦に子供二人であれば上記の4倍の金額になるわけです。国民健康保険には扶養という概念がないため、非常に高い金額になります。

所得割

 所得割の方は所得に対するパーセンテージで課税されます。さらに、一人あたりという計算ではなく、世帯所得の合計金額が基準になります。~39歳及び65歳~74歳の場合には8.69%+2.8%=11.49%、40歳~64歳の場合には8.69%+2.8%+2.36%=13.85%です。

 何にこの数値を掛けるのかというと「旧ただし書き所得」というものです。

 旧ただし書き所得ですが、給料や株式や不動産などの投資の利益、事業所得などの合計から基礎控除を引いた金額になります。国保加入者ごとに計算のため、家族が4人の場合には住民税の基礎控除額がそれぞれ4人分活用できます。

 配当所得と株式譲渡所得に関しては、所得税の確定申告で総合課税または申告分離課税で申告した場合には加算対象ですが、申告不要制度を利用した場合には対象外となる点もポイントです。この部分に関しては、不公平ということで制度の見直しが議題に上がっていますので、変更があるかもしれません。

 所得が「課税所得」ではなく「総所得金額等」であるため、基礎控除以外の所得控除や税額控除はこの計算では控除されません。そのため、多くの場合に給料所得を計算する時点で適用される「給料所得控除」と下記の計算式の通りで控除される「住民税の基礎控除」が、収入から差し引かれると理解してよいです。

 配当と株式譲渡所得は確定申告をしてしまうと、この計算対象になるため、国民健康保険の保険料に影響を与えるため、自営業者などは配当と株式譲渡所得では申告不要を選ぶことがお勧めとなります。

健康保険組合

 健康保険組合に関しては、障害時の手当などの付帯的なサービスが付与される場合もありますが、そこまで利用頻度が高いものではないので、その部分は大差ない前提として、健康保険組合の保険料の方を見ていきましょう。こちらの方は、所得割や均等割などの特別ルールはなく厚生年金と同様に標準報酬月額を基準とに計算されます。

 介護保険第2号とか意味不明な言葉が出てきますが、こちらは国民健康保険と同じく40歳~64歳だと高いという話です。保険料率は健康保険組合ごとに違い、上記は中小企業の多くが加入する協会健保の場合です。国民健康保険が~39歳及び65歳~74歳の場合に11.49%であったのに対して9.98%、40歳~64歳の場合の国民健康保険が13.85%であったのに対して11.58%と安い設定になっています。

 大手企業が加入する健康保険組合の場合には、上記の率は更に低いと考えられ、健康保険に関しては国民健康保険より健康保険組合に加入する方がお得と言えます。さらに、働いていない配偶者や子供の保険料を無料にできる扶養という概念もあるため、これも含めれば圧倒的な差になります。

 なお、厚生年金には加入せずに健康保険組合のみに加入するというパターンは実現ができないので、給料が低い人が厚生年金及び健康保険組合に加入しているパターンが、社会保険の負担とリターンで考えれば一番お得と言えます。給料が少ないのであれば、生活に困るので給料が少ない方が良いというのは違和感がありますが。

節税のテクニック

 上記の基礎知識を踏まえて、順番に節税テクニックを見ていきましょう。

住民税非課税世帯

 物価高騰やコロナなどで何かと給付のあるものとして住民税非課税世帯というものがあります。これになる条件は下記の3つがありますが、主には3番目の項目で考える場合が多いでしょう。均等割も非課税というパターンと所得割だけが非課税というパターンがありますが、住民税非課税世帯の定義である均等割も非課税の方を見ていきます。

 なお、所得税の非課税に関しては、所得税の基礎控除の部分でふれたとおりの103万円の壁を超えなければ非課税になります。住民税の方は年収によって金額が変わらない均等割というものもあるので、説明しています。

 独身で45万円、夫婦世帯の場合は35万×2+31万=101万円、子供が1人増えるごとに35万が追加されるので夫婦で子供一人ならば136万円。そこまでは何とかわかる。分からないのが合計所得金額の部分です。これらの所得は細かくは下記の図の通りです。

 しかし、合計所得金額の部分だけ簡単に理解するのであれば、収入から給料所得控除及び公的年金控除のみが差し引ける。しかし、その他の取得控除や税額控除は差し引けない。

 給料所得控除の最低額は55万円、公的年金等控除は65歳未満が60万円、65歳以上で110万円です。控除と判定額の合計が判定収入の基準値になりますので、計算してみます。

給料所得控除公的年金等控除判定額合計(判定収入)
独身
又は扶養無し
55万円0円45万円100万円
夫婦55万円0円101万円156万円
夫婦+子供1人55万円0円136万円191万円
夫婦+子供2人55万円0円171万円226万円
独身(65歳以上)
又は扶養無し
0円110万円45万円155万円
夫婦(65歳以上)0円110万円101万円211万円

 上記の結果になりました。子供二人の場合に年収が226万円では、子育ては中々厳しい。だから、夫婦共働きになるとします。その場合に夫が年収226万円以下で、妻が100万円以下で、ギリギリであれば世帯合計326万円以下であれば、住民税非課税世帯になります。

 さて、次は年金暮らしです。こちらは年金のみの収入の場合には夫の年金が211万円以下。そして、妻の年金が155万円以下。ギリギリであれば夫婦合計で366万円以下までは住民税非課税世帯になるわけです。だから、70代の1/3程度、80代の半数程度が住民税非課税世帯となり、住民税非課税世帯全体の2/3が70代以上。非常に年金受給者が優遇されています。

国民健康保険の減額

 均等割だけでも82,100円となる国民健康保険。4人家族であればその4倍の金額になります。非常に大きな金額であるため、減額措置も取られることがあります。具体的には下記の通りでです。

給料所得者でありながら国民年金や国民健康保険に入るというパターンがあまりない気はします。

 夫婦で給与所得を得ていて基準を下回ることはほぼないので、その部分を割愛して試算します。なお、この金額のはんていには所得が使われるのですが、この所得というのは世帯全員の総所得金額等の合計になるため、控除として使えるのは給料所得控除と公的年金控除になります。

独身夫婦夫婦、子供1人夫婦、子供2人
7割減額43万円43万円43万円43万円
5割減額72.5万円102万円131.5万円161万円
3割減額97.5万円152万円206.5万円261万円

 給料所得のみの場合には、給料所得控除の55万円を上記の金額に足した金額が判定年収になります。7割減額に関しては、43万円+55万円=98万円が年収の判定になり、生活できる給料ではないので給与所得者では対象になることはほぼ不可能でしょう。

 だから、現実的にあり得るとすれば5割減額からになります。とはいえ、こちらも夫婦と子供2人で161万円+55万円の年収216万円が判定基準です。夫婦共働きで給料所得控除を二人分使ったとしても年収合計271万円になるので、非現実的です。

 3割減についてい見てみましょう。こちらは夫婦と子供2人で261万円+55万円の年収316万円が判定基準です。夫婦共働きで給料所得控除を二人分使った場合には年収合計371万円になります。少しは実現性が見えてきてますが、非常に低い基準でないと達成できないことは分かると思います。

国民年金支払額の減額

 国民年金の方は、全額免除~1/4免除まであります。全額は計算しやすいのですが、3/4免除などは扶養控除額と社会保険料控除額等が加算されるため、計算は自分の状況に合わせて計算が必要です。

 扶養人数のみで決まる全額免除は下記の所得金額が基準です。同じく給料所得控除の55万円はプラスした年収で計算できますが、その他の所得控除や税額控除は計算の対象外です。4人家族でも年収227万円が基準なので、免除の基準を満たすのは中々難しいものがあります。

独身夫婦夫婦、子供1人夫婦、子供2人
全額免除67万円102万円137万円172万円

 国民年金の支払い免除ですが、免除割合によって支給額も減額される点は注意が必要です。全額免除で半分の支給があるので、免除されることができるならばそれでも免除された方が良いのですが。

株式譲渡所得及び配当金の申告不要制度

 判定年収が厳しすぎて住民税も社会保険も免除の対象になるのは年収基準が低すぎて生活が無理なレベルです。そこで、免除を受けながらも生活できる収入を得る方法というのがこの株式の配当金などの申告不要制度の活用になります。

 これらの所得ですが、確定申告で総合課税や申告分離課税で申告すると合計所得金額に含まれてしまうのですが、確定申告をしないという選択をすると「合計所得金額」に含みません。だから、給与収入が非常に低くて生活できないレベルでも配当金による収入が多くあれば生活できる。しかし、合計所得金額が少ないから各種免除を受けられる。というパターンが可能になります。

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個人事業主とサラリーマン

 上記までに個人事業主とサラリーマンの年金及び健康保険については説明しました。それではサラリーマンでありかつ個人事業主である場合にはどうなるのでしょうか?

 この場合ですが、実はサラリーマンの方の厚生年金及び健康保険組合にのみ加入で、国民年金と国民健康保険には加入が必要ありません。しかし、本業が会社勤めて、副業でも給料を貰っているサラリーマンの場合には片方の厚生年金や健康保険だけではなく、両方の厚生年金と健康保険費用の支払いが必要になります。

 さて、このサラリーマン兼個人事業主が厚生年金と健康保険組合のみで良いという点がポイントです。だから、シンプルにいうとサラリーマンが副業で何か個人で稼いだ場合でも所得税や住民税の方はそれに見合った税金が発生しますが、年金と健康保険の方は増えません。

 これが、サラリーマンの副業が税金的にお得と言われるポイントです。上記は社会保険的なお得な部分ですが、税金の方も、複式簿記による帳簿の対応は必要になりますが、青色申告特別控除を活用すると65万円の個人事業の収入に非課税枠を獲得できます。事業の場合には、交通費や住宅や電気代などの事業で使った部分、接待費などを経費として税金の対象から減額することもできます。

最強節税マイクロ法人

 自分で最小限の事業を行う一人会社を設立するのがマイクロ法人です。このマイクロ法人は法人のため、個人事業主と比べて、社宅や出張手当などの経費を活用で来る点もありますが、これらは経費活用の話になってくるので、社会保険の視点で考えてみます。

 個人事業主とサラリーマンの項目で説明の通り、兼業サラリーマンは厚生年金と健康保険組合のみに加入でOKになります、マイクロ法人では、自分社長=サラリーマンになります。そして、別事業で個人事業も可能です。そして、自分社長であるがゆえに自分で給料が決められます

 自分の会社は資産管理会社などで最小限の事業ににして、給料は給料所得控除と同じ年収55万円などに設定します。そうすると、厚生年金も健康保険組合も最小限に抑えることができます。そうなると、国民年金や国民健康保険に加入も不要になります。

 マイクロ法人の社長であれば、厚生年金や健康保険組合であるために妻や子供を扶養に入れるとこができます。年金に関しては、夫婦でば下記の国民年金の2倍の金額。一方でマイクロ法人では下記の厚生年金の最小の一人分の金額になり、大幅に減額できます。

 夫婦の場合には国民年金であれば2倍の407,520円になります。一方で厚生年金ですが、最小の金額は193,248円です。この金額で妻の年金も支払いが不要になるため、年間21.5万円程度の効果です。

 国民健康保険は82,100円の均等割が4人分であれば約33万円。一方で、協会けんぽの場合には全額でも月額5788.4円のため年額で69,461円=約7万円にまで減額されます。均等割の一人当たりの金額が8.2万円なのでそれよりも低い金額になります。年間26万円の効果です。年金と健康保険で合わせえて年間47.5万円の削減効果で、法人は法人住民税均等割の7万円が最低限の費用ですから、これだけでも年間40万円お得になります。

 マイクロ法人に関しては、FIRE後に個人の配当金を法人からの給料所得に変えて、家族全員がそれぞれ給料所得控除55万を使えるようにしたり、賃貸マンションを法人契約にして家賃の最大80%を経費=節税対象にしたり、など他の節税方法もありますので、FIREをした後は必須になると思います。

まとめ

 今回は、所得税・住民税・年金・健康保険の基本についての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。

  1. 給料から差し引かれるのは、所得税・住民税・年金・健康保険が主な項目。
  2. 所得税は収入によって税率が上がるが、住民税は税率は変わらない。
  3. 厚生年金はお得ではないけど、健康保険組合はお得。

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