前提が超富裕層のDIE WITH ZEROを真に受けると終わる

 お金を上手に使いたい人は多いでしょう。今回は、DIE WITH ZEROの記事を書きます。これで*人生トータルでの幸せの量を最大化することができます。

  1. DIE WITH ZEROの著者が超富裕層である点が共感できない
  2. 実際にDIE WITH ZEROを目指すスタートラインにいる人はほとんど居ない
  3. しかし、そのラインにいる人は、いつまでもお金を使わないのが間違っていることに気付ける
目次

アメリカの超富裕層向けに語られるDIE WITH ZERO

 9月30日といえば、2020年の9月30日はDIE WITH ZEROが出版された日です。私のような節約を重視し、資産形成を行う人にとっては、真逆の一冊です。

著:ビル・パーキンス, 翻訳:児島 修
¥1,515 (2024/09/30 10:41時点 | Amazon調べ)

 正直なところ、私には共感できない部分が多い一冊でした。しかし、読む価値がない一冊でもないと思います。一生、お金を使わずに使い続けるだけの人生で良いのか?という疑問を投げかけてくれる一冊だからです。貯蓄が大好きな人に不足している要素です。

 だからと言って共感できないのは、筆者が成功したアメリカの超富裕層である点が主な要因だと思います。例えば、若い頃にはした金を貯めるな…ですが、日本の一般的な年収を見ると下記の通りです。平均としては、上がるどころか下がっています。

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 さらに、平均年収ですが平均としては年代ごとに下記の通りに多くは上がりません。一方で著者は「年間16,000ドル未満の収入」から始まり、2022年には1527万5000ドルの絵画を買える金持ちになっています。そこまで収入が上がる前提であれば若い頃にはした金を貯めるなとなるのかもしれませんが、普通の人には通用しない考え方であると思います。

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 これと同じ理由で思い出の配当があるから、借金してでも若い頃に経験に使えという話。そもそも、社会人に出るときに多くの人が奨学金という名の借金を抱えている状態から始まります。そこに、さらに経験のためということで、例えば海外旅行に使う。

 それが楽しい思い出になり、さらに、その後で借金の返済に困らなければ問題がないでしょう。しかし、多くの人は年収が上がらず、旅行などの消費者金融ローンなどの高金利の借金返済に追われる毎日を過ごすことになってしまった場合には、旅行の思い出どころではないでしょう。

 この本が多く読まれている本である一方で、前提は超富裕層(少なくとも富裕層)。しかし、世の中に超富裕層はほとんど居ない。日本で二人以上の貯蓄額を見てみると下記の通りで、そもそも老後に必要といわれる資産額に到達していない。Die With Zeroを目指さなくても、そもそもそうなってしまう人の方が多いため、この本のヒットは正直なところ謎です。

ニッセイ基礎研究所
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Die with zeroを目指せる立場にある人はほとんど居ない

 Die with zeroの基本的な考え方は、多くの貯蓄している人の目的は老後の資金のため。そして、老後においても同じことを言う。だけど、死ぬときにお金を持っていても意味がないからゼロを目指そう。

 これも腑に落ちない。貯蓄には目的が必要という前提がある点が違うのでしょう。貯蓄自体が目的になっても意味がないとはその通りですが、例えば、資産1億円があったとして、これが資産1億円を下回ってしまった場合に、どういう気分になるか?ということ。

 例えば、それでも9000万円があるから良いと考える人であれば、そもそも貯蓄で1億円は達成しないわけで、やはり、資産が増えないとしても、貯蓄の目的があるあとか関係なく資産が減っていくことには嫌悪感があるわけです。

 さらに、長寿の対策は貯蓄ではなく、保険。多くの節約家の中で愛されていないことで有名な一生型の個人年金保険です。著者も確かに割高である点は認めていますが、それでも、自分の資金を使い切るためには必要という考え方です。しかし、自分の資産をなくすことを目的に、手数料の高い保険に入る方が良い。全く、資産を使わない場合に比べれば、その方が月に使えるお金が少ないというのは余りにも暴論に感じました。

 やはり、現実的な選択肢としては、自分の生活をするために必要な収入を資産収入でるという経済的自立のラインまで資産を増やす。そして、それ以上の資産を作っても意味がないので、それ以上の部分においては、お金を使いたいものがあれば使うというレベルがちょうどいい。その結果、死ぬときの資産は経済的自立のラインの金額は残っている。これであれば、安心して、保険に入らずとも過ごせます。

 とはいえ、90%以上の人は完全な経済的自立のラインを越えられません。FIREを実現した人というのがいたとしても、資産が3000万円程度で、4%ルールを適用したとして月額10万円。すべての収入がこれだけでできるわけではなく、もししたとしても仙人のような生活になります。

 一人暮らしで資産1億円、家族で資産2億円。これくらいの資産があれば、流石に経済的自立のラインと言えるでしょう。で、この資産をどれだけの人が超えられるか?ですが、ほとんど居ないという話で、結論として、Die with zeroを目指すべき人なんてほぼ居ないと言えると思います。

 45歳から資産の取り崩しを始めるという部分も、そもそも、45歳の時点で老後に必要な十分が資産が形成できていることが前提なのですが、それができなくて困っているのです。

今しかできない経験や体験、お金の使い方はある

 ということで、基本的には賛同できない内容ではあったのですが、とは言え、読むべきはむしろDIE WITH ZEROの後半の部分です。本の内容として過剰にするためにDIE WITH ZEROとまで言ってはいるのですが、実際のところで大事なのは、お金は貯めるだけではなく使うことも重要である点です。

 そして、この使い方というのが特に大事です。人間は年齢とともにできることが少なくなる。だから、若いうちにしかできない体験は、若いうちにやっておいた方が良い。これは確かに事実なのです。自分で満足に歩き回れなくなってからお金を大量に持っていても、その使い道がない。

 人生で死ぬときの後悔が家族との時間を取れず、仕事にばかり時間を使っていたことであったりもするわけです。だから、大事なことはバランスです。借金までして、若い頃に散在することで後悔すべきでもなければ、若いうちに節約をし過ぎで、家にこもって何もしなかったのでは、後で後悔する。

 また、お金を使う事だけが経験になり、楽しいことであるわけでもない。さらに、お金を少し節約するために多くの無駄な時間を若いうちに使うのはもったいない。例えば、安い食材を買うために遠くのスーパーに行くなど。この両方が事実。

 これらを踏まえての私が考えたのは、確かに労働収入であれば自分の時間を使って収入を得るので、その方法で収入を得続けるのは人生を通した幸せを得られない。一方で、資産運用ということでれば自分の労働時間を消費することなく収入が得られるわけです。だから、やはり資産収入を増やすことで、自分の人生のトータルの自由時間を増やしていきたいと思います。

 また、日本の労働収入が上がらない現実も踏まえて、若いうちからある程度の資産を作って、資産運用することは現実的には必要で、若いうちに収入アップも必要。節約に関しては面倒くさいだけで、一度やってしまえば効果がある固定費の削減は行う。また、他人軸である見栄や知識不足による借金や保険も削る。一方で、変動費のような日々の潤いを与えてくれるものや時短家電のような時間をお金で買える出費は減らさずに、上手にお金を使うこと言うことが大事なのだと思いました。

 と言うわけで、このDIE WITH ZEROですが、経済的自立のラインの資産形成が完了した人なのであれば、いつまでも数字上の金額を追うのではなく、FIREとまでは行かないまでも、使いたいことにはお金を使うべきということを考えるきっかけになるので、ぜひ、購入して読むといいと思いました。

著:ビル・パーキンス, 翻訳:児島 修
¥1,515 (2024/09/30 10:41時点 | Amazon調べ)

まとめ

 今回は、DIE WITH ZEROについての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。

  1. DIE WITH ZEROの著者が超富裕層である点が共感できない
  2. 実際にDIE WITH ZEROを目指すスタートラインにいる人はほとんど居ない
  3. しかし、そのラインにいる人は、いつまでもお金を使わないのが間違っていることに気付ける

 つまり、DIE WITH ZEROするには経済的自立の達成がおすすめです。そのため、素直に蓄財ましょう!

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