携帯料金引き下げに反対する既得権益者たち |
携帯料金引き下げの反対という記事を見かける。
その理由は主に3つ。
1)政府が民間企業に口出しをするのがおかしい。
2)日本の携帯料金は高くない。
3)5Gなどへの投資が遅れる。
その証拠も色々を並べる。
そして、なぜそう言えるのかの意見も出す。
その可能性はあるが、実際にはそうなっていない。
政府が民間企業に口出しするのがおかしい。 |
1)政府が民間企業に口出しをするのがおかしい。
なぜなら、企業が営利を求めるのは当然だから。
独占的な立場にあるとも言えない。
と言う・・・。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクと揃って同じ値段。
証券会社の取引手数料のように値上げ合戦で、しまいには無料。
そういう状況で同じ値段ならば、競争が働いているとも言える。
しかし、携帯料金は「とにかく複雑で、オプションだらけ」。
何が変わったか分からないままに、いつのまにか携帯料金が上がっているという状況。
スマホと本体セットの割引が無くなった分だけ料金が下がるかと思いきや、それを利益に回した。
ここまで、ボッタクリの利益を載せればそこを減らして横取りしたいと思う企業も出てくる。
携帯で言うと楽天モバイルはそこに目を付けた。
しかし、先行投資が大きすぎてインフラが整わない。
自社サービスエリアは未だに狭すぎる状況で普及が進まない。
さらに、電波周波数の影響から既存のスマホユーザーへの対応も難しい。
もう一つあるのが、MVNOおよびサブブランド。
こちらにすれば料金はとても安くなる。
そうすれば良いのだが90%は主要キャリア利用者のまま。
主な理由は通信速度。
結局は主要キャリアの間借りなので、安くするには帯域を絞るしかない。
完全に競争可能な会社ではない。
これがインフラ企業。
楽天モバイルによってインフラ企業がいかに独占的で新規参入が難しいかが分かる。
独占的であり、既存企業が競争しないのであれば市場原理は働いていない。
となると、政府が介入して強制的に価格競争を促すか、価格競争をあきらめるかしかない。
日本の携帯料金は高くない |
2)日本の携帯料金は高くない
これは20GBの携帯料金で世界の主要都市で比較している。
これが高くないと言われるのはメインキャリアではなくサブキャリアの価格で比較している。
一方で、主要キャリアで比較した場合は日本は高い。
その分だけ日本の携帯サービスは行き届いている・・・という意見もある。
それは各地にドコモショップなどのお店があり、そこでサービスが受けられるから。
これは雇用を生み出しているという点では良い部分もある。
しかし、ユーザー視点で見れば携帯ショップに行く人はそんなに多くない。
携帯ユーザーの90%がそんなに頻繁に利用していたらパンクする。
そんなに利用する人がいるわけでもないので、パンクしない。
つまり、あまり使っていない無駄なサービスをしている。
そして、それにお金を払っている。
その部分が無くなって、料金が下がるのであればそうしてほしい。
しかし、その選択肢が無いので受けれている。
完全な売り手市場の状態である。
5Gへの先行投資が遅れる |
3)5Gなどへの先行投資が遅れる
今は携帯料金が高いままだから、5Gの技術でキャリアは先行しているだろうか?
いや、そんなことは全然ない。。
中国などの方が先に5Gサービスを開始している。
悪いのが悪いままなだけだ。
では、主要キャリアの利益がどこに流れているか?
株式会社だから当然ですが、株主へ流れるわけです。
携帯キャリアは総じて配当利回りが高い。
TOBで株価が上がる前のドコモ、KDDIで4%程度。
株価が落ちたソフトバンクは7%を超えている。
そして、配当は減るどころか増配を続けている。
投資家視点で言っても、安定して配当を貰える企業は魅力がある。
その安定はインフラと言う独占的な立場にある。
これが飲食や不動産などのように参入が多い業界ではあれば、安定した配当は望めない。
一方で、成長を目指すような会社は配当ではなく株価で株主の期待に応える。
しかし、インフラ企業は成長ではなく安定感を重視した配当で株主の期待に応える。
これが、東京電力などの電力系インフラ企業が需要を支えていたが原発事故で配当はストップ。
安定的な配当銘柄ではなくなり、無配へ。
通信キャリアは電力会社と違って、原子力発電所のような爆弾を抱えていない点も魅力的である。
企業視点からすれば、他社と無駄な競争さえしなければ、株主の期待に応えらえれる。
だから、価格は下げない為の努力をする。
そのために、料金を複雑にして、セットなどで割引をつけて最大割引した金額を前面にする。
とにかく分かりにくして料金を下げない。
企業として合理的な対応の結果、携帯の価格は維持される。
故にこれを下げるのが公共の福祉になるということであれば、政府が手を出すしかない。
そもそも携帯の料金が下がるのが、消費が下がっているこの時代に良い事なのかは分からないですが…。