ふるさと納税で多くの金額をお得に寄付したい人は多いでしょう。今回は、株の利益と配当金の分はふるさと納税の上限額が増加するの口コミ記事を書きます。これで自分の給料と株式でいくら寄付がお得か知るすることができます。
ふるさと納税の上限額の計算式は下記の通りです。
そして、配当や株式の利益がふるさと納税の上限額に影響する金額は下記の通りです。
配当と株の利益を確定申告しない場合 | 上限額は増えない |
※株の利益は申告分離でのみ申告可能 | 配当を総合課税した場合のふるさと納税が増える金額「配当の合計額の10%」に23.558%~45.397%(課税所得により変化)を掛けた金額 |
配当や株式の利益を申告分離課税した場合のふるさと納税が増える金額 | 「配当や株式利益の合計額の10%」に26.779%を掛けた金額 |
配当金や株式の利益が100万円で、ふるさと納税の寄付上限額が2~3万円くらい増えるというイメージですので、配当や株の利益が多い場合にはふるさと納税が沢山できます。
株の利益や配当金の分も確定申告すれば増えます
株式投資をしている場合で、ふるさと納税をする時に少し気になること。株式の利益や配当金はふるさと納税の上限額税金の対象になるのか?です。還付されなくて良いのならばいくらでも寄付はして良いのですが、還付されるのが目的としていくらまで寄付しても還付されるのか?です。
結論ですが、株の利益や配当金の分も申告すれば増えます。基本的なルールはここに載っています。これをもとに配当金と株式の利益が計算に含まれるのかを考えてみます。
所得税は総所得金額等の40%、住民税の基本文は総所得金額等の30%が上限です。しかし、、ここら辺は今回は関係ありません。
次が特例分で2割を超えない場合とありますが、ここがふるさと納税の全額還付のポイントです。先ほどの総所得額ではなく住民税所得割額になっています。これもポイントです。
上記の中の右側の計算式を見てみると特別分は100%から10%と所得税の税率が引かれているわけですが、所得税と10%に関しては別途控除さているため全額控除されるということです。二重で控除されると寄付額以上には控除されてしまうので調整しているだけで、つまり「住民税所得割額」の2割を超えない場合には100%が還元されるということです。
ただし、左側の「ふるさと納税額 – 2000円」とあるので、2000円は控除されないのため、完全な100%では何ですが、ほぼ全額の控除(税金の減額)と言えます。つまり、ふるさと納税のおススメ上限は「住民税所得割額の2割」ということです。
その下に書いてあるのは、超えた場合でも寄付した金額の所得税率(5%~45%)+住民税の基本10%+住民税の特別20%の合計35%~75%は税金が減額されるということです。これは全額控除の金額とは関係ないので気にしなくていいです。
いう感じで、親切に細かく説明してくれてますが、結論だけ言うと下記の通りです。住民税所得割額が計算式の元になるので配当金と株の利益がこれに含まれるかがポイントです。×1.021は復興特別所得税です。
この章のポイントは下記の計算式です。
住民税所得割額とは
「総所得金額等」と「住民税所得割額」ですが、住民税の計算フローは下記のとおりで、「総所得金額等」が青枠で「住民税所得割額」が赤枠の金額になります。重要なポイントは「所得控除額」と住民税率(10%)です。算出所得割であるか差し引き所得割になるかは、今回の寄付金控除がこの税額控除額に含まれるとなると「算出所得割」で考えて計算する方が適切でしょう。
この「所得控除額」ですが、下記のようなものがあります。扶養控除や社会保険料控除などあり、多くの金額が減額されます。住民税は基礎控除が43万円で、あとはiDeCoをやっているとその金額も減る。配偶者控除は夫婦共働きならないし、子供が15歳以下なら扶養控除もなし。ただし、社会保険を払っている分は大きく控除されます。
そして、住民税の所得割の税率は10%です。
税金の基本がわからない方は、下記の記事を見てください。
配当金によって増える寄付額上限
更に難しい点は、配当金を「確定申告しないか、申告分離課税で申告するか、総合課税で申告するか」を選べることです。まず、申告しない場合には、配当金は住民税の計算から除外されるため、ふるさと納税の金額は増えません。源泉徴収されているので確定申告しなくても税金は取られてます。
一方で、申告すれば株式の利益も配当金もふるさと納税の寄付額の対象になります。ただし、自営業者などで国民健康保険に加入している場合には保険料に影響しますし、サラリーマンの場合には保育園の保育料(1人目かつ、0歳から2歳児の場合)の金額計算に加算されるので、その部分も考慮しましょう。
上記の内容についても、長くなるので下記の記事を見てください。
ざっくり計算してみる
ふるさと納税の上限額の計算式をもとにザックリで計算してみます。条件設定が必要なので、配当金は総合課税にして、所得税率が20%の場合を仮定してみます。
ふるさと納税の上限増額額の計算(総合課税、税率20%)
①給料などの収入に配当金の金額を足す。
配当金を200万円とします。
※株式の利益は総合課税はできず、申告分離課税のみ可能です。
②住民税所得割額
配当金の金額から住民税所得割額の増額分を出します。
住民税の税率は10%なので、200万円の10%は20万円です。
③住民税所得割額 × 20%
住民税所得割額が20万円であれば、20%は4万円です。
④「90% – 所得税率(0%-45%)×1.021」を計算。
90%-20%*1.021=69.58%(所得税率20%の場合)
⑤ ③の結果を④で割る。
4万÷69.58%=57,487円 これが配当金200万円で増えるふるさと納税額です。
所得税率
この「所得税率」ですが所得の金額にって率が変わり、その所得は「給料」と「株の利益と配当金の額」の合計です。
その合計課税所得額で「195万~330万:10%」「330万~695万:20%」「695万~900万:23%」という感じです。
難しすぎるので、結論をまとめると下記の通りです。配当や株式所得も総合課税ならば、所得割の税率は10%ですから、配当や株式利益の合計額の10%に下記の赤枠で囲った率を掛けると、ふるさと納税の上限追加額になります。
総合課税は所得税率が変わるから難しいですね。一方で、申告分離課税の方は簡単です。
申告分離課税時の増額分
申告分離課税は、所得に関わらず税率15%で固定です。そのため、上記の数値は誰でも26.779%になります。つまり、配当と株式の利益を申告分離課税した場合にふるさと納税の寄付額がいくら増えるかは、配当や株式利益の合計額の10%に26.779%を掛けた金額になります。
配当と株式の合計の利益が200万円であれば、10%は20万円でそれに26.779%を掛けた「53,558円」がふるさと納税の寄付金額の上限が増える金額となります。
200万 × 10%(住民税率) = 20万円
20万円 * 26.779% = 53,558円(この金額がふるさと納税の上限が増える額)
年収500万の独身がふるさと納税の上限額が6万円程度。一方で、配当金が200万円の場合にそれによって増えるふるさと納税の金額は5.3万円と大きく枠が増えます。理由は嬉しい話ではなく、給料に加えての配当金や株式の利益については控除があまり効かないので、税金が増えている。その結果、ふるさと納税の上限が大きく増えるわけです。
詳しくふるさと納税の上限額を計算してみる
給料や各種控除、株式の利益や配当も含めて計算してみます。計算式はとにかく、コレです。
①配当金を総合課税にするか、申告分離課税にするか
ふるさと納税の上限額を確定させるには、配当金を総合課税にするか、申告分離課税にするかが決まっていなくてはなりません。そのため、この部分を最初に確定させます。これはふるさと納税の上限額を増やすことよりも、配当に対する税金を減らすことを優先します。
配当金(国内)にかかる税金は復興支援税を除くと、源泉徴収と申告分離課税の場合には所得税15%、住民税5%です。一方で総合課税にすると所得税は給料と合算した金額を基準に計算され、5%~45%をベースに配当控除が10%惹かれます。つまり、0%~35%になります。一方で住民税は10%から配当控除2.8%引かれた7.2%になります。
所得税 | 住民税 | 合計 | |
---|---|---|---|
源泉徴収と申告分離課税 | 15% | 5% | 20% |
総合課税 | 0%~35% | 7.2% | 7.2%~42.2% |
合計が重要で、所得税の税率によってどっちがお得かが変わります。ここで出てくるのが下記の課税所得になります。源泉徴収と申告分離課税の20%を超えるラインがどこかというと課税所得695万円です。年収でいうと1100万円位の人が対象になります。
今回は配当金も総合課税にするので、給料(額面)と配当金の合計金額が1100万円を超えなければ総合課税で良いということになります。この金額を超える人はほぼ居ないと思いますので、結論として配当金は総合課税にしておいてOKということです。
②給料と配当金から「課税所得金額」を計算
配当金を課税所得にすることが決まったら、収入である給料と配当金の合計額から、各種控除を差し引いて「課税所得金額」を調べます。
まずは給料から、基礎控除48万円、給料所得控除、社会保険料控除、小規模企業共済、保険控除、扶養控除などを引いていきます。給料所得控除は計算が必要です。
社会保険料控除は下記などです。こちらは報酬月額(4月5月6月に受けた報酬の平均額)が基準になります。ボーナスがあれば標準賞与額に対する社会保険料もあって、これも計算に加える必要があります。
これらの計算を自分で行うのはキツイと思いますので、給料に対しては、下記のような計算結果を活用すると良いと思います。
例えば、年収800万円の場合に課税所得は447万円です。上記はiDecoを含んでいないので年間264000円の投資をしている場合には、年収からこの金額を引く必要があるので、773.6万円の額面年収の課税所得を見ることになります。
この場合には上記の表にないので、単純に課税所得の447万円から26.4万円を引きます。そして、iDeCoは社会保険料控除には影響がないため計算は多少しやすく、給料所得控除を考慮すればいいので、年間264000円の年収800万円に対する給料所得控除率10%=2.64万円分の給料所得控除がなくなるので、この分を足します。つまり、423.24万円で約423万円の課税所得になります。
年収800万円の課税所得 = 447万円
447万円 – 26.4万円 = 420.6万円 (iDeco寄付分を減額)
420.6万円 + 2.64万円 = 423.24万円 (iDecoによる給料所得控除の減額分を加算)
ここで終わりではなく、今回は上記の金額に総合課税にする配当金の金額を足します。例えば年間配当が175万円の場合ですと配当金は税引き前の金額をそのまま足して、423万円(税率20%)+175万円=598万円(税率20%)となります。これが下記の課税される所得金額の基準になり、その税率を見ると20%です。
③住民税の所得割額を計算しておく
課税所得金額から住民税の所得割額を計算するのは住民税の税率が10%なので、計算が簡単そうですが、所得税と住民税は基礎控除や扶養控除の金額が違います。今回は基礎控除だけを使う前提で、先ほどの計算結果である598万円から5万円を差し引いた593万円を使用します。そして、この10%ですので、59.3万円が住民税所得割額となります。
と言いたいところですが、住民税の配当金控除があります。配当金が175万円であれば、その2.8%が減額されますので、4.9万円は住民税所得割額が減ります。つまり、59.3-4.9=54.4万円が住民税所得割額となります。
④総合課税分のふるさと納税の上限額
住民税所得割額(54.4万円)と所得税率(20%)が出てしまえば、あとは下記の計算式で計算するだけです。計算式は下記の通りです。
(54.4×0.2)/(0.9-0.2×1.021)=15万6400円
あとはいずれにしても引かれない分の2000円プラスですので、15.8万円となります。
ようやく計算できました。と言いたいところですが、株式の利益も確定申告していて、こちらが申告分離課税になっているので、この分も加算が必要です。
④申告課税分(株式の譲渡所得)のふるさと納税の上限額
こちらは給料や配当、所得税率は気にしなくて良いです。チェックすべきは年間の株式譲渡所得の合計額です。利益確定をした年と考えて年間250万円の利益が出たとします。計算式は下記の通りです。
250万円*10% = 25万円
25万円 * 26.779% = 6.7万円
⑤合計額を出す
総合課税額分と申告分離課税額分を足せば、ついに「最終のふるさと納税の上限額」が算出できます。
総合課税額分:15.8万円
申告分離課税額分:6.7万円
合計:22.5万円
ちなみに令和6年は定額減税があったのですが、こちらは気にしなくて良いです。ふるさと納税の計算は控除前の金額を使うからです。
まとめ
まとめは下記の通りです。
年収が高いサラリーマンの場合、「源泉徴収」と「申告分離課税」で所得税と住民税の税率が同じなので、あえて配当を確定申告する意味はありません。一方で、「総合課税」で配当控除を使う場合は確定申告するのです。ただし、このふるさと納税という話になると、年収が高いサラリーマンの場合でも「申告分離課税」で確定申告した方が良いということになります。
もちろん、自営業などの場合には確定申告することで、社会保険料が劇的に増えるのでいずれにしても、源泉徴収で確定申告はしない方が良いです。表にまとめると下記の通りです。
配当の利益を確定申告しない場合 | 上限額は増えない |
※株の利益は申告分離でのみ申告可能 | 配当を総合課税した場合のふるさと納税が増える金額配当の合計額の10%に23.558%~45.397%(課税所得により変化)を掛けた金額 |
配当や株式の利益を申告分離課税した場合のふるさと納税が増える金額 | 配当や株式利益の合計額の10%に26.779%を掛けた金額 |
配当金や株式の利益が100万円で、ふるさと納税の寄付上限額が2~3万円くらい増えるというイメージなので、配当や株の利益が多い場合にはふるさと納税がいっぱいできます。
年収アップによる税金や補助金への影響を知りたい方は下記の記事を参考下さい。
ふるさと納税については下記の記事も参考ください。