資産1億を作ってFIREしたい人は多いでしょう。今回は、株の利益と配当で社会保険料が増える件の記事を書きます。これで資産を形成した後に社会保険料とどう付き合うべきか知ることができます。
- 株の利益と配当で社会保険が増える影響は資産額が多いほど大きい
- サラリーマンの内は一応は今回の社会保険料の見直しの影響は受けない
- FIRE後と今回の社会保険料の増額も考えるとNISA成長枠は高配当株がおすすめ
金融所得を医療・介護保険の保険料算定に反映させる検討を本格化
2028年度までに株の配当などの金融所得を医療・介護保険の保険料算定に反映させる検討を本格化させるというニュースがありました。
この程度のニュースは資産1億円があれば特に気にしないだろうと思いがちですが、実際のところ非常に気にします。資産額が多い方が影響が大きく、資産があまりなければ影響がないからです。その理由を解説します。
非常に回りくどい表現です。反映させるではなく検討。検討を行うではなく、本格化させる。決まっていないが、今思いついたことではなく以前から考えてきたことだと言いたいのでしょう。
非常に多くの反発を生んでいるわけですが、日本の社会保険料の増加には何らかの対策は必要。年金の受給年齢開始や支給額の減額などもあるでしょうが、それでも足りない分は社会保険料の増加を含む増税で対応する必要があります。つまり、ほぼ実施されるものと理解して良いでしょう。
ただし、来年からなどのすぐにではなく、今が2024年度で2028年度なのでおそらく4年後から始まるわけです。
気になる点は株の配当などの金融所得に株式の利益である「株式譲渡益も含まれるのか」です。これについては、下記の案が考えられているようです。
株や債券などの金融所得のうち、課税の手続きで確定申告をするかしないかを選べる所得について、社会保険料の徴収に反映させるようにする
課税の手続きで確定申告をするかしないかを選べる所得って何?という所ですが、株価が上がって増えた分の利益や配当は、お金が手に入った時に税金が自動で取られるような設定ができます。そのため、この利益は確定申告をしなくてよいのです。
確定申告をしない場合にはこの利益に対する社会保険料は増加しないのです。一方で、源泉徴収されているけれど確定申告をしてしまった場合(税金の部分が安くなる場合に確定申告します)には、社会保険料は増加します。厚生労働省は、この部分が不公平であるとに言っているのです。
つまり、配当だろうが株の利益だろうが源泉徴収を選んでも社会保険料は増額させるという事です。
マイクロ法人スキームであれば対策できる
気になる回避策ですが、まず、サラリーマンには関係がありません。健康保険組合に入っている場合には、この社会保険料の増額は会社側の負担も増えるという事を意味しているからです。
ある社員が株式譲渡や配当で大きく利益を出す。そして、それに対して社会保険料を増やします。この時、サラリーマンの場合には会社と本人で半分づつの社会保険料の支払いをしています。そのため、株式譲渡や配当で社員が利益を出しても会社には1円も入りません。しかし、この分の社会保険料を会社が負担することになる。これが受け入れられないからです。
個人事業主や無職などの国民健康保険や国民年金に加入している人のみが対象です。個人であっても自分で法人を起こし、一人会社の社長になる場合には対象外となります。いわゆるマイクロ法人というやつで、現在のルールが維持されるのであれば、最高の社会保険料対策であり続けます。
今回の変更は、不公平の是正という建前があるので、そういう視点ではこのマイクロ法人節税もつぶしたいところでしょうが、社会保険料対策ではない会社でも1人会社や赤字会社は多く、赤字会社に至っては65%と過半数を超えるため、マイクロ法人スキーム潰しは判断が難しいと思われ、すぐに潰されることはないと楽観しています。
条件を作ったとしても、その条件をギリギリ超えるマイクロ法人を作る人がいる一方で、普通に会社をやっていて社会保険料対策でもないのに、条件に適合せずに不本意な被害を被る人も出るでしょう。
FIREを考えると今回の社会保険料の見直しも踏まえて高配当株式
これを踏まえて、新NISAの投資先について考えたいと思います。基本的には2択で、S&P500やオルカンなどの国際インデックス投信と高配当個別株です。理論的には生涯投資枠の考えから、S&P500やオルカンなどの国際インデックス投信が正解です。
しかし、FIREを考えると精神的な面も含めて「高配当株」が良いという結論を出しました。そこに今回の配当に対する社会保険料の追加が加わります。
この時、FIRE後に年間300万円を必要する生活をする場合に、配当を得るか投資信託を売るかの選択肢があるとします。今回の社会保険料の見直しは、NISA口座が除外されることがポイントです。
NISA口座で投資信託を保有の場合、NISA口座は非課税で生涯投資枠もあるので、他に資産があるようであれば売却は後回し。となると投資信託を売る場合にはNISA口座以外の投資信託を売ることになります。この場合、投資信託の利益の全額が今回の社会保険料の見直しの増額対象になります。
一方で、NISA口座で高配当株を保有している場合。この場合には株式を売るわけではありません。ただ、保有している株式から配当が生み出されます。そして、NISAで生み出される配当は今回の社会保険料の見直しの対象外となります。
夫婦でNISAの成長枠が2400万円あったとして、3.5%の配当利回りがあれば年間84万円の配当金。投資元本に対して、増配により4%に配当が増えれば年間96万円の配当金になり、これが社会保険料の対象外の収入になります。
生涯投資枠を意識し、さらに投資年数が伸びた場合にはその福利効果でそれでも投資信託の方に優位性があるのですが、FIREを実際に目指す場合には今回の社会保険料の見直し検討の話も踏まえても、理想的なインデックス投資信託ではなく、NISAの成長枠は高配当株への投資がお勧めと言えます。
資産額が1人1800万円よりも少ない場合には、FIREはきないとは思いますが、NISA枠の中で全ての投資資金を運用することができるため、今回の社会保険料の増額の影響は受けません。だからこそ資産が多い人ほど今回の話は気にするべきなのです。
まとめ
今回は、株の利益と配当で社会保険料が増える件についての記事を書きました。ポイントをまとめると下記の通りとなります。
- 株の利益と配当で社会保険が増える影響は資産額が多いほど大きい
- サラリーマンの内は一応は今回の社会保険料の見直しの影響は受けない
- FIRE後と今回の社会保険料の増額も考えるとNISA成長枠は高配当株がおすすめ
つまり、社会保険料の増額を回避するにはNISAの利用がおすすめです。そして、成長枠で高配当株投資しましょう!
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